インターネットあっちこっち

おじさんが、水族館や動物園に行ったり、そのへんでお酒を飲むブログです

「東京のミニパナマ運河」を自称する扇橋閘門の一般公開を見てきた

見てきました。去年*1も見たんですが楽しかったので今年はうちに泊まりに来ていた友人たちを引き連れて行ってきました。
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そもそも墨田区のほとんどと江東区の北側2/3程を占める江東デルタ地帯は、戦前~高度経済成長期の地下水と天然ガスの組み上げによってすっかり地盤が沈下してしまい、東京湾の干潮時の海面よりもさらに地面が低いという地域が広がっています。このため、西は隅田川沿岸、東は荒川沿岸にしっかりとした堤防を作って多雨・台風時の洪水を防ぎ、あわせて小名木川の水位を調整しつつ舟運の便を図るための施設のひとつが扇橋閘門なのです。
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控えめにのぼりが立つ扇橋関門入り口。僕らがここに差し掛かると、テントの下から
「もうすぐ船が通りますよー」
という広報の声が。
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慌てて閘室*2に駆け寄ってみると、隅田川側の「前扉」が開けられており、そこにアプローチする遊覧船の姿が見られます。
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荒川方面の水路を締め切る「後扉」。その向こうの小名木川の水位が遥かに低くなっていることが分かるだろうか。常に水門の「隅田川側」の水位が高く、「小名木川側」の水位が低いように調整されています。
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進入してきた船が閘室のどこかにもやいを取ると
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後扉の外側に閘室の水がどんどん排水されていき
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水位がぐんぐんと下り、
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やがて後扉が開くと船が小名木川の方に入っていきます。
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扇橋閘門の非常用発電機と管制室(2階)。
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管制室の横の通路で隅田川側を眺めていると、すぐに先ほど向こうに行った遊覧船が戻ってくる旨の通知が。
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船が入ると後扉が閉じて……
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閘室にどんどん水が流れ込んできて水位を上げます。
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やがて水位が一緒になると観光船は隅田川方面に向けて航行していきました。
ちなみに閘門をくぐるとき船の乗客が傘を差しているのは、閘門が上がるとき真水の洗浄シャワーがゲートに吹きつけられそのしずくが垂れてくるからで、川の水はほとんど垂れてこないそうです。
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管制室。もともとはそれぞれの水門の上で管制していたものの、効率化のために一箇所にまとめられたとのこと。
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小名木川の生き物として展示されていたハゼやチチブたち。
閘門以東の小名木川横十間川北十間川、旧中川はひとつの水系として水位調整されていて、水質維持のため扇橋閘門と北十間川桶門から隅田川の水を導水、木下川排水機場から荒川に向けて排水する水の流れがあり、通常時、水系内の水は3日かけて入れ替わっていくとのこと。道理で春先から多くの人が釣り糸を垂れていても魚影が消えないわけだ。

パナマ運河に比べるとあまりにささやかな施設ではありますが、東京東部を洪水から守り、河川交通を維持する大事な施設である扇橋閘門。じつはここ、この秋から耐震改修工事に入るため2年強に渡って見学だけじゃなく通航もできなくなってしまうとのこと。*3
今年の一般公開は残すところ20日(土曜)、21日(日曜)、27日(土曜)、28日(日曜)の4日間のみ。興味がある方は今のうちに行っておくのが良さそうです。
www.metro.tokyo.jp

*1:2015年

*2:関門と関門の間の水路

*3:その間、船舶は荒川ロックゲートから出入りすることになる

2016年夏、台風の影に怯えつつ青ヶ島に行ってきたの記(その2)~青ヶ島上陸-一晩目まで

台風5号の隙を突いて、ここ数年、たびたびネット(あるいははてなブックマーク)で話題になる「青ヶ島」に行ってきた旅行記その2です
hms-ulysses.hatenablog.com
の続きとなっております。
↑にて青ヶ島三宝港に到着後、迎えに来ていただいた宿のご主人の軽ワゴンで宿泊先に向かいます。カメラバック胸に抱えて緊張していた*1ので道中写真撮ってないのですが、三宝港から外輪山を貫いて内カルデラに至る青宝トンネルの狭さ、内カルデラに茂る亜熱帯の植物の雰囲気、そして集落に出るために再び外輪山を貫く平成流し坂トンネル前後の胸を衝くような坂など、そのエキゾチックな情緒に圧倒されていました。
なお、青ヶ島を「インターネットの通じない秘島」みたいに書いているサイトを見かけたんですが、NTT DocomoだとLTEこそ通じていないものの、島の各所で3Gは問題なく通信ができていたことを書き添えておきます。
僕が今回お世話になったのは「民宿杉の沢」さん。居酒屋も営業されている宿で、居酒屋の方に通されて「昼ごはんいります?」って聞かれました。八丈島ではギリギリの乗り継ぎで何掛かっている余裕もなかった僕としては渡りに船、「お願いします!!」と元気よく答えて冷やし中華とおにぎりのお昼ごはんを頂きました。
「部屋は『新館』の方だからねー」と鍵を渡されて徒歩で数分(車だと数十秒)の建物に連れて行ってもらい、割り当てられた部屋に着くと、そこには清潔で気持ちのいい布団の用意があって、しっかりと冷房も効いており……



完全に、ごろごろしながらスマホでインターネットをやるという、自宅でのけだるい土曜の午後と同じのんびりさに身を委ねてしまいそうになりました。気力を奮い立たせて、お昼ごはんの時いただいた手描きの地図を元に
と、まずは島内随一の眺望という尾山展望公園をめざして部屋を出ます。
部屋を出てすぐに気がついたんですが、青ヶ島、上り坂全体がすべて急で、すぐに汗だく、息も切れてしまいます。これ、単純に僕のウエイトが重いからだけじゃなくて確実に地形の制約が道に反映されています。
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集落にほど近いところの携帯の基地局と、さらに山の上に見える別の携帯の基地局。山の斜面を覆う人工的な緑は、雨水を利用するために雨が地面に染み込まないようにする撥水性の塗装です。
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「簡易水道取水場」の銘板と、年金の還元施設であることを示す看板。舗装された斜面と、1万トンの水を貯める貯水槽とその付帯施設を合わせて向沢浄水場を構成している模様です。ちなみに、後に聞いたところによると、この浄水場が完成する前は5000トンの貯水槽を擁する水道施設があったそうなのですが、たびたび水不足に陥ったとのこと。
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そしてまた細い舗装路の急坂をえっちらおっちらと登ること、総計で20分ぐらいだったかな、きれいに整備された尾根筋の尾山展望公園にたどり着くと
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ほら!!島と海、もうただただそれだけの世界!!
もうねこれだけでね、この島来たかいがあったなーってすごい気分良くなってしまって、いい風も吹いていたので何をするでもなく、ぐるぐると身体を回しながらこの光景を見ておりました。
と、そこに、僕の視界をちょろちょろする謎の影が?
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???
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イタチだ―!!!!
こんな火山島に元からいた生き物とも思えず、後で聞いてみると、ある時期ネズミ駆除を目的として移入された個体群がそのまま居着いてしまったとのこと。固有の生態系に高い圧加えてないといいのだけれども……。
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あと、展望公園でのんびりしていたら、警視庁航空隊のヘリが島を2巡くらいして北の方に帰っていくのが見えました。駐在所スタッフだけじゃなくて、ヘリでパトロールとなると、まあ確かにこの島管轄できるの警視庁くらいだよなーと警視庁の規模に関する驚嘆を新たにしたりした。
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展望公園からは尾根線にそってこのように道が伸びていたので、この先にあるはずの島の最高地点である「大凸部(おおとんぶ)」に抜けていけないかなーと思って行ってみたんですが東台所神社までで行き止まり。
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途中の道から展望公園を振り返ってパチリ。
結構な時間をこれらの眺望を独り占め*2すると、集落に向かって降りていくことにしました。
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途中にあった「還住」像。「還住」とは、青ヶ島の内カルデラが江戸時代の天明5年(1785年)に火山活動を活発化させ、島民が八丈島への避難を余儀なくされた後、文政7年(1824年)に帰還して島を復興させた一連の史実を指します。島にとっては祖先の苦難の記憶で、「あおがしま丸」の先代の船が「還住丸」と名付けられているなど、深い意味合いを持つ出来事です。
詳細は
還住 - Wikipedia
など参考にしてください。
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青ヶ島小中学校。真ん中の太平洋にまっすぐ向いた渡り廊下が印象的で、青ヶ島を旅した人のブログでは必ずと言っていいほど言及されるポイントですね。青ヶ島小中学校は全校生徒20人程度のところ、中学校が他の学校と同じように教科別に担当教師がつくため、総計で20人強(+教頭+校長)という非常に手厚い態勢になっているそうです。ただ、地元出身の先生はいなくて、みなさん都内の別の学区から赴任されているということ、先生の態勢が手厚いから成績が良いかというと必ずしもそうではないこと、またここの中学を出るとさらに先の進学や就職を考えて(隣の八丈島の高校ではなく)、東京本土の高校に進学すること生徒が多いことなどを、のちのち地元の方とお酒を飲みながら教えていただきました。
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学校の海側すぐにあった佐々木卯之助の碑。↓こんなやり取りがあったのできょろきょろ探していました。

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工事現場で見かけた地層。火山活動のせいで褶曲している、という理解でいいのかな、これ。
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さらに集落を降りて行く途中で見かけた貯水槽。今でも使われているのか、向沢浄水場ができてからは使われていないのか、そのへんは不明です。また五洋建設の大きな出張所もあり、あ、マリコンが活躍する立地!と納得することしきり。そうこうしてるうちにたどり着いたのが
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「ジョウマン」と呼ばれる島の北端の草原地。
本当に完璧な、まるで夏そのものいった風情。写真で見ると海までほど近いように見えるんですが、目に入る端でもこれで実は海抜200mくらいあって、海と隔絶された島だなーというのがわかります。かつてはウシの放牧場として広く利用されていたそうですが、近年はウシの数もすっかり減ってしまったようで、草原というよりはササが卓越した笹薮となっています。

ちなみに、このジョウマンと集落を結ぶ道というのも急坂続きで、ホント足の裏と腰に来ました。

島の高所と低所を制覇して満足感とともにふらふらと宿の近くまで帰ってきた僕に声をかける人があり、「!?」と思って振り返ったると、「あおがしま丸」で一緒に上陸したご夫婦でした。なんでもこの日からしばらく「あおがしま丸」が寄港できない状況になりそうなため、「牛祭り」*3に合わせて就航するヘリのチャーター便の戻りに便乗できるようになっていると役場が広報しているとのこと。大変な感謝の気持ちとともに教えていただいた役場の番号に電話し2日後午後のヘリの席を予約します。「あおがしま丸」に比べると8000円くらい高いんですけれども、あてどなく閉じ込められること考えると安いものです。ほんと、とりあえず島まで来てみるとどうにかなるもんだなあ。

宿に返ってシャワーを浴び*4
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アオゼやカンパチの刺し身に舌鼓を打ちつつパッションフルーツサワーと青酎をいただいていたら、たちまちのうちに上機嫌になり軽く夜の散歩を済ませて布団にくるまると島一日目の夜は更けていきました……。

hms-ulysses.hatenablog.com
に続きます。

*1:カメラ持って旅する人間として何だこのザマという感じではあります……

*2:夏の暑さの盛りのせいか誰も登って来なかったですね

*3:8/11に開催される島最大の祭り。島外在住の島出身者も多く帰島する

*4:シャワーも、宿の飲み水もそうなんですが、雨水からゴミをのぞいて塩素を添加した水だからか、島の水道をひねって出てくる水はどれも非常に当たりが柔らかかったです

2016年夏、台風の影に怯えつつ青ヶ島に行ってきたの記(その1)~竹芝桟橋-青ヶ島上陸まで

インターネッター、とりあえず船に乗る

ここ数年、たびたびネット(あるいははてなブックマーク)で話題になる「青ヶ島」。実は私もかねてより行ってみたいと思っておりました。青ヶ島のお酒「青酎」が好きだというのと、4年ほど前に八丈島に行った時に温泉の露天風呂から見えた島影に妙に旅情を誘われたというの、あと、もちろんインターネットに上げられている旅行記の景色が素晴らしい物ばかりだったからというのもあります。

ただ、青ヶ島に上陸するにはまず八丈島まで赴き、そこから就航率50~60%ともいわれる連絡船「あおがしま丸」*1か、定員9名と少なく地元の方も利用するためあっという間に席の予約が埋まるヘリコプター便「東京愛らんどシャトル*2を利用するしかありません。そして一度悪天候に見舞われると、そもそも青ヶ島に辿りつけなかったり、辿り着いたはいいけど戻り便が動かないまま島に何日もいなければならないこともあるそうで、気軽な感じで「次の三連休にでも」とはいかない島なのです。

しかしこの夏、あれこれの結果しばらく時間が取れそうになり、そしてこの期を逃すと次長く時間を作るのが難しいかも、という状況になったため、思い切って行ってみることにしました。当然ヘリの席は埋まっていたため、いきは「あおがしま丸」でのチャレンジです。


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とりあえず竹芝桟橋から東海汽船「橘丸」に乗り込んで八丈島を目指します。
この時台風5号が発生していて小笠原南方海域を移動中でした。台風のうねりは想像以上にかなり遠くまで伝わるため、青ヶ島丸の就航は5分5分といったところ。とりあえず八丈島行ってから考えよう、ダメだったら別の島渡ってもいいし、という出たとこ勝負でいきます。


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特2等和室は2段ベッド式で各寝台ごとに簡易ロッカーと小さい網棚、蛍光灯とコンセント1口がついていてかなり快適に過ごせます。……海が荒れてなければ。
大きな荷物を荷物置場に、小さな荷物を寝台においてうろうろと「橘丸」の中を探検。階段ホール部分に「橘丸」のカラーリングを手がけたイラストレーター、故・柳原良平氏のデザインしたキャラクターたちがいくつも飾られています。
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4甲板と5甲板の遊歩デッキでは、出航前から、備え付けの椅子とテーブルや、床に敷物を敷いて酒盛りをするグループが幾つも見られました。
ちなみに、「橘丸」の船内の自販機、お酒やソフトドリンク、あとスナック類は陸上の自販機と同じ価格で非常に良心的でした。あるいはなんかの補助が入ってんのかな?
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出港からしばらくは船内食堂も開いていましたが、夕ご飯は竹芝の立ち食いそばで済ませていたのでパス。食堂は終業後サロンとして開放されていて、先日ない消灯後の憩いの場になっていました。

この時が1時過ぎ、浦賀水道を出た相模湾を南下中でした。
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5時前に三宅島着。そこそこ人が降りて行きました。
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三宅島から出稿する遊漁船。釣り人はマジ朝早いな……。
https://www.instagram.com/p/BIvd7e0Dnli/
強がってますけど、どうもあとから考えると既にしっかり船酔いになってたんですよね……。この後は胃のだるさを抱えつつ寝台でウトウトといかぐったりしていました。頭上げてるとダメだった。
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八丈島八丈小島がはっきり見えて来ました。
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定刻を30分ほど過ぎて9:15ごろ八丈島は底土港に上陸。「あおがしま丸にお乗り継ぎの方はお急ぎください」のアナウンスが流れる。よっしゃ!あおがしま丸、今日就航するんだ!
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かなりうねりにガブられながら「あおがしま丸」も底土港に入港してきました。
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2隻そろって荷役中。
底土港の待合所で切符を購入する際
https://www.instagram.com/p/BIv0d9QDGzD/
これ、裏を返すとこの日行かないとしばらく行けないということ。明日は明日の風が吹くだろうととりあえず乗船。
船室はカーペット敷の広間になっていて、壁の棚に自由に使える枕と毛布がしまってあります。また冷蔵庫もあって手荷物で生鮮食料品を運ぶことも可能となっていました。2013年12月竣工とまだ出来て3年に満たない船だけあって、船内はどこもきれいなものです。

船室には八丈島民らしい初老の男性と、数名の青年男子グループ、そして僕と同じように観光に行くであろうご夫婦が一組。ちなみにこのご夫婦とは島内でもたびたび行き合っていろいろ教えていただくことになるのですが、この時の僕はそれを知るべくもなく、ただただ、


船室のテレビでは青ヶ島村紹介動画とか流れていたんですけどね……。

いよいよ青ヶ島に上陸!

波に揺られること3時間ちょっと、ひたすら横たわって意識を飛ばしていたのですが、エンジン音が変わり船がゆっくりと方向を変えるのがわかりました。窓から外を見ると
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青ヶ島だ!!
下船案内のアナウンスもありどうやら本当に上陸できそうです。
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青ヶ島を訪れた人の感想としてよく「要塞のよう」と言われる青ヶ島三宝港。火山島のため島の周囲の浅瀬がなく、外洋の波浪が直接打ち込んでくることに加え、港を作るのに適した低地もなく斜面崩落によって港が破壊される危険もあるためコンクリートで厳重に「防護」された島民の方々のライフラインです。すでにうねりが桟橋を乗り越えているが濡れた様子からわかります。
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タラップが渡されているところ。戻り便に乗る人が多く、この写真を撮った時は「あれ、結構観光客多いのかな?」と思ったのですが、後で聞いてみると、お盆休みに入ったため島を離れる島外出身の建築/土木会社の従業員の人達だったとか。僕と逆にここで島を出ておかないと帰れなくなる人たちだったわけですね。
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クレーン車でのコンテナ荷役。まあ常設の設備は置けないよなあ……。

ということでいよいよ青ヶ島島内へ!!

続きは
hms-ulysses.hatenablog.com
をごらんください。

*1:波が荒いと青ヶ島に寄港できなくて欠航になる

*2:こちらも天候によっては欠航することがある

すみだ水族館の夏イベント「お江戸の金魚ワンダーランド」を見てきた

金魚、大好きなんですが、飼うとどういうわけかうまくいかないので見るのに専念するようになりました。
というわけで。
www.sumida-aquarium.com

行ってきました。
僕はすみだ水族館3回めになるですが常設展は
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まあいつもどおり。
ただ、東京大水槽の裏にあった東京湾の生き物コーナーが、なんかネオンがピカピカ光るクラゲ水槽になっており、客を呼ぶ展示と水族館としての誠実なカタログ性って相反しちゃうよなーということを思いました。

あと熱帯魚水槽でクマノミを見つけたちびっ子が
「あ!ニモがいる!!ドリーに出てたやつだ!!!
って叫んでてなんというか盛者必衰を感じた。

「見せる」と「知らせる」をバランスさせた金魚展

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金魚展は5階フロアを外周を使って水槽を配置しており、パネルを使った説明のほか




フナ→ヒブナ→金魚各種の変化を水槽で示したり

金魚の様々な品種を小さい水槽で一覧させたりと、導入展示は非常に丁寧に作られています。またその中で、金魚(というか本来は魚類全般ですね)は非常に大きな量の遺伝子情報を持っており変異しやすくそのため様々な品種が生まれていること、金魚は雑に飼っていると数代でフナに戻ってしまうこと、人間が常に干渉しないと金魚という品種そのものが成り立たないことを説明しています。
あと江戸期は当然いまほど機材がなく、そもそも趣味的な品は高かったので適当な桶・鉢や防火水槽での飼育が当たり前だったという言及もあって「お江戸の金魚」という名乗りにふさわしい内容だなと思いました。
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ということで水槽飼育が普及している今と違って、本来ランチュウは桶だの鉢だの盥だので飼われる品種で上から見て美しかったり可愛かったりするのがポイントなんですよね。
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ショートテールのリュウキンは横から見たほうがかわいいかも。ちなみにこの水槽見てる背中側には磯臭いオットセイのプールがあって、なんか批評性がありました。
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お祭りの横丁イメージ。横から見る展示と上から見える展示が混在しているのが分かるかと思います。
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コメット。現状では唯一アメリカで作出された品種だったはず。
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リュウキンは体色と尾のバリエーションが豊かでかわいい。
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最近あまり見なくなってしまったクロデメキン。
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ワキンも体色が更紗だと艶やか。
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クソでかいオランダシシガシラ。コイキング感あった。
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現代アートぽかった巨大な寄せ植え?盆栽?みたいなのと水槽の組み合わせ。なお左の階段には江戸風鈴が展示されていてあおぐ用のうちわがおいてありました。
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上の巨大なやつの水槽にはかわいいランチュウが泳いでいました。ギャップがいい。

全体的に工夫しつつやり過ぎない展示で、金魚の美しさとか、動きの愛らしさみたいなものがきちんと主題として見える良い企画展だったと思います。金魚というと実は去年の夏、アートアクアリウムも見に行ったのですが、金魚が素材として便利使いされていて、本来の良さを出せてないなあと思っていたのでこういう展示があって、金魚それ自体の魅力が多くの人に伝わったらステキだなとも思いました!

海の日のイベントで水産庁の漁業取締船を見てきました

海の日、東京の晴海埠頭で、海にまつわる様々な展示ブースが出たり、いろいろな会社・機関の船が一般公開されるイベントがやっていたので、その中で日頃見る機会の少ない水産庁の漁業取締船を見学してきました。
バスで晴海埠頭に着くとまず目についたのが


https://www.instagram.com/p/BH_HyGIDazl/
商船三井の自動車運搬船「AQUAMARINE ACE(アクアマリンエース)」。こちらの内部見学は事前申し込み制で、完全に申し込み忘れていたので外から眺めただけですが、日頃あまり商船のやってこない晴海埠頭にこういう船がいるのを見るだけでテンションが上ります。

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その横には航海訓練所の帆船・海王丸が。
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海王丸は出港直前で、出港準備のためにタグボートが横付けしているところでした。
まずは細いロープを受け渡しして、
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船首のドラムに巻かれている太いロープに繋ぎ変えます。
タグボートが作業しやすいように、海王丸の左舷の錨が下がってるの分かるでしょうか?
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海王丸と岸壁の係留柱(ビット)をつないでいたロープ(ホーサー)も解かれ、いよいよ出港。タグボートが曳航を始めます。
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乗組員、練習生のみなさんが別れの「帽振れ」。今調べたところ、海王丸はどうやらこの後、岩手県宮古港に向かったようです。
そのさらに隣、晴海埠頭の一番北より方に水産庁の漁業取締船、「白竜丸」と「東光丸」が並んでいました。
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ちょっとわかりにくいんですが煙突には水産庁の「水」を意匠としたマークが描かれています。

漁業取締船というの、馴染みがない方も多いかと思いますが、簡単に言いますと漁船がさまざまな取り決めに従って適正な漁業が行っているかを監視・指導する船です。密漁や違法漁具の使用、割当漁獲高違反などが発覚した場合は当該漁船の拿捕、乗組員の逮捕を行います。この権現は日本漁船だけでなく周辺各国の漁船にも適用されます。沿岸、近海部は都道府県の漁業取り締まり部署があたっており、「白竜丸」と「東光丸」などの水産庁の漁業取締船は遠洋での漁業取り締まりに従事していることが多いそうです。

両船の水産庁の公式紹介サイトはこちら
www.jfa.maff.go.jp
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船内が満杯にならないように岸壁の横に待機列を設けて乗船人数の調整を行っていたのですが、水産庁の係員のみなさん、炎天下並んでいる見学者を気遣って、冷たいお茶など配ってくださり、大変ありがたかったです。

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さて「白竜丸」に乗り込んでいきなり目の間に合ったのがこの「取調室」で、次には「通訳」室なども目に入り、のっけから「国際的な取締のため船だ!!!」というのを分かりやすく思い知らされます。見学コースにはなかったのですが、たぶん留置場みたいなのもあるんじゃないでしょうか……。
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「白竜丸」ブリッジ。単に操船を行うだけでなく、追跡・取り締まりの指揮を執る統合管制室も併設されています。このためいざとなると2日くらいブリッジに詰めっぱなしになることもあるそうで、そんな時のリフレッシュのためこの部屋の後方には
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こんな給湯室のようなコーナーが有りました。そうだよなあ……わざわざ水分補給とかコーヒー飲みに食堂に降りてる場合じゃないだろうしなあ……。
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海図見慣れていな人にもわかりやすいようにランドマークが置かれた海図台の海図。
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ブリッジから出ると「白竜丸」と「東光丸」の取締艇が格納されているのが見えます。いわゆるRHIBですね。
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降りていくと食堂。こちらでは装備品の展示や広報動画の上映が行われていました。
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立ち入り検査時の防刃プロテクター。
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採証用のカラーボールとその発射機*1。左中程のスプレーみたいなのは警告用の特殊音響閃光弾。
上映されていた広報動画を見ていますと、違反漁業者、言うこと全然聞かなくて、こういう装備が必要なのもむべなるかなという感じ。また、航行日誌ごまかしていたり、分かりづらいように船倉の中わざと乱雑に漁獲物積み上げていたりとあの手この手なので、検査-検挙と言うのは一筋縄ではいかないようで本当にご苦労様だなあという気持ちになりました*2
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調理室。
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食堂を出てラッタルをたどり、横に並んでいた「東光丸」後甲板へ移動します。木製の甲板板が足に優しい感じ。これを含めまた「白竜丸」「東光丸」両方共そうなんですが、全体的に船内外の調度には気が使われているように見受けられ、長期間の取締任務のストレスを少しでも軽減しようと工夫されているように見えました。よく見学している自衛艦と比べても、内装がしっかりしているように感じたのですがこれは、「戦闘での損傷・火災」を想定しなくてよい分、内装の自由度が高いというのはありそうです。

さて「東光丸」では子供連れ対象の前記の取締艇体験乗艇をやってまして
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これは子供さんいい思い出になるんじゃないでしょうか。うらやましい。

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サロン。けっこう豪華なの、海外での関係者接遇とかに使ったりするのかしら。
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「東光丸」のブリッジ。こちらも統合管制室が併設された構造なのですが、「白竜丸」より20年弱前の建造のため、若干の古めかしさがありました。もちろん給湯スペース併設。
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ブリッジの外には時鐘が。目の前では取締時に警告や通信を掲示する電光掲示板が、このときは見学時間を知らせていました。
この後船首でアンケートに答えて退船。おじゃましました!
他にもたくさん船があってかたっぱしから見たかったのですが、


という感じだったので
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コンテナ船「なとり」*3の入港だけちらっと見てバスに乗りみましたとさ。

*1:コンプレッサーから圧力空気もらって発射する形式

*2:逆に言うと規制の決定さえ下れば、しっかり取り締まりが行われ、マグロなんかも資源量回復するんじゃないかなあ……

*3:一目でわかる球状の船首や水面下の構造、塗料などの工夫で9.5%の燃費向上を達成した船