霧雨の中の駐屯地祭、「第12旅団創立16周年 相馬原駐屯地創設58周年記念行事」
やまない雨はないけれど
ブログIDからおわかりの方もいるかもしれませんが、このブログではあまり取り上げていないものの、わたくし、ミリオタでして、自衛隊のイベントなどにも時折出かけております。んでたまにはちょっと変わった駐屯地祭にでも行こうかと、ミリオタの友人とミリオタじゃない友人を誘い、レンタカー仕立てて群馬県は相馬原の第12旅団創立記念イベントに行くことにしました。第12旅団は陸上自衛隊の部隊の中でもヘリコプターが比較的多く配備されている部隊で、ヘリがばんばん飛ぶような訓練展示が見れるかなと期待していたのですが……
週半ばからの雨が土曜まで引きずられ会場の相馬原飛行場は霧雨の中。
すでに始まっている高機動車の体験搭乗も心なしか避難民輸送のような雰囲気が出ています。
本日の壁サークルであるヘリコプター地上滑走体験抽選券配布*1ブースに並びます。当たるといいなあ……。
観閲式が始まった頃の様子。
霧雨に包まれて何もかもがうっすらとしています。
なお、今年*2は翌9日の滝ヶ原の駐屯地祭もこんな感じだったらしい。
時間が進むに連れてきてちょっと収まりましたがこの程度、やはり訓練展示その他でのヘリの飛行は中止となってしまいました。残念!あと、地面がビシャビシャなので観覧者の多くが立ったまま傘をさしており、写真のアングルがかなり難しくなったのも残念といえば残念。
雨天のいい面としては、車両がヘッドライトつけてるだけで何だが雰囲気が出るところですかね。
なお記憶が定かではないのですがこの観閲行進の前後で、東京近郊の駐屯地ではあまりないようなやたら長い来賓祝辞・来賓紹介・祝電紹介その他が延々と行われており、一緒に行った人たちと思わず
「旅団本部としてはやはり担当地域の全部のメンツを立てているのかな」
「政治家の名前多すぎるし、単に上州戦争の名残では……」
というような会話を繰り広げました。
旅団本部のイベントなので後方支援部隊のはたらく車たちがいっぱいパレードするの見てて楽しい。
きちんとした行進と訓練展示の写真を狙うなら来賓用スタンドの滑走路向かって左手に陣取るのが良さそうでしたが、多分そこから埋まっていくんだろうと思います。我々は7時東京駅集合で9時過ぎに現地着でしたがすでに写真の好スポットは全部抑えられていた感じ。都心から行くなら前泊とか始発頃に動き始めて道々友達拾っていくとかしないとバッチリの写真は難しいかも。
出撃!車懸りの陣
偵察隊のバイクによるバイクドリルのあと、いよいよ訓練展示が始まります。
滑走路端に想定された敵の拠点方向に、第12偵察隊のオートバイと87式偵察警戒車が偵察に向かいます。
敵の応射を受けて一旦退却する87式偵察警戒車。砲塔は敵の方に向けたままです。
偵察隊の報告を受けて火力陣地に展開する師団特科隊*3の155mm榴弾砲FH-70。
こういう牽引式の大砲は移動形態から射撃形態に切り替えるのに少し時間がかかるものなんですが、その切替中、写真のように新潟は高田駐屯地の第2普通科連隊*4の軽装甲機動車*5がぐるぐると砲の周りを走り回っており、場内放送によると「上杉謙信公が第4次川中島の戦いで用いたという車懸りの陣で援護します!」とかなんとか。これ完全に『天と地と』だったらむざむざとやられるやつや……。ご当地ネタ挟んでくるのは土地柄なんだろうなー。
FH-70に加えて迫撃砲も展開を終え
普通科部隊が敵と撃ち合っているところで
バーン!!!!
ズガーン!!!!
と敵陣に向けて射撃。駐屯地祭で撃たれるのは空砲なんですが、いやはや、それでも何度聞いても大変迫力があります。
迫撃砲も砲身に弾薬を落として撃ったフリ。
火力の集中で敵が怯んだ隙に先ほどから展開していた普通科部隊のほか、旅団の残余も追撃に加入。敵を追い払って訓練展示END。ヘリが飛べる状況だったら、偵察と追撃のところでヘリ部隊が投入されたのかなーと思いました。
戦いすんで日が暮れて
駐屯地祭の常として、訓練展示が終わると来賓向けの祝賀会場への移動放送などが流れ始め、だいたいのことが終わった雰囲気が醸し出されます
FH-70も再び移動形態へトランスフォーム。
分解して持って帰られる81mm迫撃砲。
ということで我々も午後の装備品展示の前に腹ごしらえと、桜並木の売店会場に移動。群馬の山裾の方では桜にはまだ少し早く、かき氷が投げ売られていたのが印象的でした。
思い思いにご飯を買って駐車場に戻り、レンタカーでご飯。
僕は群馬に詳しい同行者の1人がプッシュしていた「登利平」の「鳥めし竹弁当」をチョイス。
コクはあるのにしつこくないタレが鶏肉にもご飯にも染み渡っていて、常温のままでもとてもおいしい!ボリュームもあって満足度が高かったです。ビールでもさくっとあけたいところ、今日は運転手なのでがまんがまん。
足湯と榴弾砲が大人気
お昼ごはん食べているときから「地上滑走」*6をしているCH-47の音は聞こえていたんですが、訓練展示で出そこねたAH-1Sも出てきた模様。
大規模イベントに出動する携帯電話の臨時基地局っぽい「野外通信システム」の車載システム。
こちら、第12旅団の一部部隊が駐屯する宇都宮駐屯地からやってきた中央即応連隊所属の「輸送防護車」。オーストラリアの「ブッシュマスター」という装甲車の日本向けのもので、戦闘やIEDの脅威がある地域から現地の邦人を避難させる際に使用する車両。地雷を踏んだ時に爆風をうまくそらすため、車体の底がV字型になっているのが見て取れます。2016年度現在で計8両しか購入・配備されていない、かなり珍しい車両です。
記念塗装のOH-6D。なんかWeb1.0って感じがする。
人気を集めていたのは訓練展示でも活躍していたFH-70榴弾砲。多くの人が思い思いに射手席?みたいなところに座らせてもらってました。
あとここの装備品展示、最近どこの陸上自衛隊のイベントに言っても展示されている、場合によっては自衛隊のイベントじゃない防災関係のイベントとかでも展示されている96式装輪装甲車が展示されてないのが返って印象的でした。ヘリで運べない重さの装甲車*7なので第12旅団には配備されていないんですね。空中機動歩兵って本質的には軽歩兵だよなというのと、旅団長手持ちで一番重いの87式偵察警戒車で、動ける火力としては対戦車中隊が編成に残されてるんだなっていうのはミリオタとしてフームとなった次第。
この他人気だった野外入浴セット2型による足湯。
雨で寒かったというのと、隊員の人たちが「ぜひ寄っていってください!」「足湯ですからSNS等へのアップもOK!!」って頑張って宣伝していたのが良かったんだと思う。野外入浴セット、災害時に自衛隊が設置する臨時のお風呂として段々有名になってきてますが、災害時じゃないときでも体験してホッとして貰える機会があるの、多分いいことなんだと思います。
コブラ、飛行場には来ていたのに近くに寄れませんでした。
なお最後ですが、「徳の高い男のtumblrには化学消防車の画像が流れてくる」という俚諺を思い出したので飛行場配備の化学消防車の写真をおいておきますね!
こののち適当にドライブしたあげく榛名神社など行ったのですがそれはまた後日!
公園の一角にある以外と充実した動物園、江戸川区自然動物園
まだ冬の気配の残るころに、いってきました江戸川区自然動物園。
自然動物園は行船公園の一角にあります。「ぎょうせんこうえん」なんですよね、来るの数度目なんですがいままで「ゆきふねこうえん」だと思ってました……。
お子様たちがめっちゃ遊んでる遊具ゾーンを超えて見えたきた入口。無料です。
賑わう園内
昼下がりだったからか、めっちゃふれあいコーナーが賑わっています。
昼下がりなのでオタリアもご飯時
特に説明のないまま飼育係の人の手からめっちゃ魚を食べてました。
日向でぬくぬく
ブラウンケナガクモザル。尻尾が器用なクモザルの一種なので、動くとき常に手足と尻尾のどれかが何かを掴んでいる感じ、すごい見事なんですがあんまり動いてくれませんでした。お気に入りの日向ぼっこスペースらしい。
こちらはジェフロイクモザル。放飼場背後のイラストがいい味出てますね。
地上に降りて毛づくろい中。クモザルってこんなに地面でくつろぐんだ……。
オグロプレリードッグ。こいつもこの格好で原産地にいたら猛禽にやられそうなんですが、どうなんだろうな……。
ベネットアカクビワラビーは一心不乱に草食ってました。
園で一番のアイドル(?)オオアリクイ。最近は動物園でミナミコアリクイばっか見ていたせいか、「あ、デカイなこれ……」と結構びっくりします。
最近放飼場に改修があったのが気になっているのか素早く動き回るオオアリクイ。
もはや陽の当たらないところで寝ているレッサーパンダ。
大量に飼育され素早く動き回っているリスザルケージって、見ていると精神がゾワゾワしません?
両爬もいる、日淡も結構いる
まだ寒い日が続いていたのもあり、屋外の陽当たりの悪いカメ池みたいなところではみな冬眠中でしたが。
保温されているケージ内のグリーンイグアナとか
イシガメの幼体とかは超げんき。
ホウシャガメ舎には原産地のマダガスカルのトゲトゲした木が植えてあり、来園者に少しでも現地をイメージしてもらおうと工夫されています。
この江戸川区自然動物園、上掲のイシガメの幼体いるところはミニ水族館みたいになっており、そこそこの数の国内産淡水魚と、アオダイショウやヤマカガシといった爬虫類やイモリなんかも展示されています。要するに「江戸川とその河川敷」にいる生き物の展示。江戸川東岸の市川市動植物園(と併設の自然博物館)でもやはり江戸川に生きる生き物展示はしっかりとしていて、地域アイデンティティの示し方だなーと思います。
ウナギとか。
ワタカ!この間琵琶湖博物館でも元気にしてたやつ!もともと琵琶湖水系にのみ生息しているのが養殖魚の種苗放流に従って全国に拡散して、江戸川にも定着したそうです。
他にも色々水槽があるんですが日差しの関係で撮影がうまく行かず……。
鳥インフルエンザ、絶対許さねえ
許す許さないもないんですが、
カモフラージュを施した野戦指揮所みたいになってるペンギン舎。
展示休止となっている猛禽類たちのケージを見ると鳥インフルエンザがいかに猛威を奮っているか、そして東山動物園の休園などもあって、各動物園がいかに神経を使っているかがうかがわれます。
これとかもうなんだかわかんねえな……。
薄っすらと透けて見えるショウジョウトキ。
とだいたいこんな感じでひとまわり。大型の獣も類人猿も猛獣もいませんが、バラエティに富んだ生き物がいて、ふれあいコーナがあり、どっか行きがてら寄るなんていうのにはいい感じの動物園だと思います。あと、行船公園は夏には金魚まつりが開催されるのでそのついでというのは動物園水族館好きにはちょうどいいかも。
飼われていないない生き物たち
さて、行船公園内にはもちろん動物園以外のエリアもありまして、こちらは「築山池泉廻遊式」の日本庭園、「平成庭園」。開園が平成元年3月だからこの名前になったのだと思います、たぶん。っていうかきっともともとは違う名前になる予定だったんだと思う。
この広々とした池にも様々な生き物がいまして、マガモ(これは自信ある)のつがい(たぶん)とか、
羽を休めるハシビロガモ(たぶん)とか。
カワウ(そこそこ自信ある)。
あとこいつ、コイに混じっていたんで最初コイかと思ったんですけど、目が赤くて間が開いてるのとヒレの感じからするとソウギョのアルビノですね(たぶん)。
こうして、何もかも多分とかおそらくといった感じで曖昧なまま庭園を出た僕でしたが、目の前には公園らしい野球場が広がり…えっ?あれは都立宇喜田公園っていう別の公園なの?そうなの……。ともかく、公設釣り堀があるのは城東の公園っぽいですよね。逆に隅田川から西側って私企業の釣り堀結構あるけど公設のがないのはなんでなんだろうなあ……。
「まあそんなことはどうでもいいじゃないですか、天気もいいですし、あんさんもどうですか一緒に昼寝」と睡蓮池からアカミミガメが語りかけてきているような気配を感じつつ、私は公園を去ったのでした。
梅まつりににぎわう偕楽園で陰陽のコントラストを見てきた
ひょんなことで茨城県に用務が出来たのでついでに足を伸ばしてきました、早春の偕楽園。今年*1は3月上旬が一番の梅の見頃のようです。そのちょっと前の週末の様子をば。
観梅というよりはお花見の雰囲気の偕楽園
梅祭りの期間中の特定日に上り線のみ停車する臨時駅、偕楽園駅で下車。水戸駅からバスや歩きでのアプローチでも無理はないようなんですが、臨時駅という響きに惹かれこちらを利用しました。
駅を降りるとすぐ側が、徳川光圀・徳川斉昭を祀る常磐神社。
彼ら藩侯がその隆盛に尽力した「水戸学」というものが明治維新の原動の一つとなり、また、御三家でありながら勤王を志すという立場でありながら、思想形成が早かったゆえに天狗党という早熟の暴発を引き起こして藩論が分裂、幕末期の歴史の流れに藩として関与できなかったという非常に複雑な背景があるわけですが、ともあれ、参拝客は引きも切らず……。その境内を西に向かって歩くと偕楽園の東門に着きます。
梅アイスと偕楽園東門。東門周辺には売店や茶屋などが何軒か並んでおりまして、梅アイスもその一軒の人気商品。もうこの辺は完全に花より団子といった雰囲気に満ちています。
梅の様子をちょっと見たその先、千波湖と偕楽園の拡張部である丸山周辺の梅林を見下ろせる芝生のエリアでは
みなさんこんな感じで、いささか春めいてきた日差しを浴びつつ完全にくつろぎの場となっておりました。園内には県内の名産品とか農産品、及びそれを活かしたお弁当などの売店が何軒も出ていてそれを買ってこんなふうにくつろぐのもひとつの楽しみ方っぽかったです。
芝生だけじゃなくて柵にもみなさんが。
高台でもひときわ南側に突き出した=仙奕台(せんえきだい)より、仙波湖と田鶴鳴梅林。なんでもかつてはここで碁や将棋が楽しまれたとか。
徳川斉昭公自ら設計の「好文亭」。古建築好きとしては入ってみたかったのですが、まあ写真の通りの人出なので、別の時期を選ぶのが賢明だろうと思ってパスしました……。
ここから梅林エリアに足を踏み入れていきます。
梅の他にも華がある
梅を見つつ、香りを楽しみつつ、写真を取りつつ歩いていると何やら人だかりが。その真ん中にいたのは
華やかな着物を着た「梅大使」の方々でした*2。
写真を撮らせていただいて歩きさり、ハッと思って振り返って後ろ姿を確かめると、帯も素敵な梅の意匠。
ちょっと早かった、白梅薫る梅林
だいたいこの日の梅林の雰囲気が出ているのがこの写真で、全体的な盛りというにはちょっとだけ早く、やや白梅のほうが目立つ状況。
紅梅はきれいに咲いているものもあれば
「遅咲き」と幹につけられたプレートに書いてあるものだと完全に蕾のままだったり。
この日一番美しく咲いていて観覧客の多くが足を止めていたのは「月影」という品種の若木でした。
青みがかった冴え冴えとした花の色がとても美しく、どうにかその良さを写真に収めたかったのですが、僕ではこれが精一杯……。
幹の風格、古い梅の木
園内、まっすぐに伸びる梅の木ばかりではなくて、長い年月を経て、あちらこちらに曲がったりしている梅の木、自力ではその形を支えきれなくなった梅の木などもありました。その形もまた、なかなかにユニークです。
アーチ状になった梅の木。
樹勢は衰えず花もなかなか艶やか。
軍艦のダメージコントロールを思い起こさせる支木。
六名木の一つ「白難波」もだいぶ補助が必要な感じになっていました。
年月を経て熱帯雨林の「絞め殺しの木」のように幹の真ん中が空いてしまった梅。これでも立派な花を咲かせているんだからすごいものですね。
「陰」の気を感じる、本当の入り口
梅園の端、偕楽園の西のはじにあるこのシックな黒門が本来の表門。
門の奥にある「一の木戸」をくぐれば、そこには昼なおくらいモウソウチクとスギの林が広がっています。
これは「陰」の世界を表しており、ここを抜けると高台と梅園からなる「陽」の世界たどり着く、というのが偕楽園の本来の造築意図であった、というのは黒門の脇にあった解説板による説明でした。
ゲームのセーブポイントか中ボス出現ポイントに見えますが、これは大理石による「吐玉泉」という……という……噴水、でいいのかなこれ。背後の崖に湧く水を枡に貯め吐き出させているものです。この水は好文亭での茶会で利用されていたほか、眼病に効くという伝承があるそうです。
手前は次郎杉と呼ばれた杉の巨木の名残。吐玉泉の周りにはかつて太郎杉〜五郎杉までの五本の杉の巨木が立ち並んでいたそうですが今は奥に見える太郎杉が残るのみ。
琵琶湖を知る、滋賀県を知る、滋賀県立琵琶湖博物館 (その2)水族館編
すっかり間が空いてしまったのですが、
hms-ulysses.hatenablog.com
の後編、琵琶湖博物館の水族館パートの探訪記です。
ヨシ原、光さす大水槽
琵琶湖博物館では「水族展示」のエリアで琵琶湖の生き物の展示とともに、同じように古代湖であるバイカル湖やアフリカ大地溝帯の湖の生き物を展示しています。そのエリアに足を踏み入れるとまず出迎えてくれるのが琵琶湖の沿岸部を模したヨシ原の大水槽。
館内の大水槽と館外に植えられたヨシが見事に琵琶湖の湖岸を模しています。
深場をゆうゆうと泳ぐコイやワタカ、ヨシの根本にひっそりと群れるタモロコやタナゴなどの小魚。きっと琵琶湖の浜の先にひっそりと潜ったらこんなだろうという景色が展開されています。午後の日差しが暖かく差し込んでいて、素晴らしい光景でした。最も、ここ入口の人気コーナーなので、粘らないとこんな無人ぽい写真は撮れず
子供、展示には目もくれず、走り回ってるだけで楽しそうだからスゴい。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
あと、僕と同い年くらいのカップルの女性がヨシ原大水槽のコイを見て「あっ、知ってる!アロワナ!」と叫んでいたので大人もスゴい。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
と言った感じで賑やかでした。
先に進んでいくと琵琶湖が深度を増していきます。
琵琶湖の岩場から沖合にすむ魚たちを展示するトンネル水槽。中ではギンブナやイワトコナマズが元気よく泳ぎ回っています。
珍しい、アルビノのイワトコナマズも。
でてこいビワコオオナマズ
そしていよいよに琵琶湖の最深部、琵琶湖の主ともいえるビワコオオナマズを展示する水槽です!ビワコオオナマズは琵琶湖博物館のほかは埼玉県のさいたま水族館でしか飼育されておらず*1、しかも事故によって本館休業中*2のさいたま水族館では実質的に見ることが出来ないため、ここでしか見れないと言っていい超レアな存在。なんですがー
水槽の中心の穴場にひっそりひっそりといらっしゃいました。なお、水槽の後ろ側にまわると
頭隠して尻を隠さないビワコオオナマズ @ 滋賀県立琵琶湖博物館(Lake Biwa Museum) https://t.co/4JqaVXUK23
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
ここから、コアユのトルネード水槽*3を抜けると、ビワコに住む個々の生物を紹介する水槽のコーナーに移っていきます。
琵琶湖の個性的な面々
田舟の浮かぶヨシ原の下には
かわいい顔したウキゴリなどが展示されています。
ビワヒガイ、だったと思う。
仲良く土管ハウス住まいのナマズ達。ナマズは琵琶湖の湖面と周囲の田んぼを行き来する特徴的な生態を持つ生き物として紹介されていました。
えいえいっと泳ぐアカミミガメ。この水槽はオオクチバスやコクチバスも混泳している「外来種」水槽。彼らもまた琵琶湖に生きる生き物たちであるというのが難しいところ……。
ちなみにこの「琵琶湖のさまざまな生き物」の最後に琵琶湖の魚介類を扱っている魚屋のレプリカがあったんですが、
ウナギの絶滅の危機に関しての情報です https://t.co/pmgVjDQDNj
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
厳しい状況だ……。
あと、特に固有種ということではないのですが、琵琶湖やその他に生息しているギンブナは基本的にメスだけで無性生殖し、他の魚の精子をかけても特に受精せずギンブナの稚魚が生まれてくるそうです。ギンブナ……、薄い本かよ……。
流れ込む川の生き物たち
展示は更に切り替わり、琵琶湖に流れ込む川の生き物が姿を表します。
かなり強い川の流れを再現した水槽、オイカワなんかが泳いでいました。
川の上流部。真ん中の樹の下にオオサンショウウオが隠れているのが分かるでしょうか?
魚だけでなくカイツブリやカモも展示されていました。
琵琶湖の生き物だけではなく淡水に住むさまざまな希少種の保護や繁殖も行われています。こちらは沖縄に生息するタナゴモドキとアオハラヨシノボリ。
保護増殖センターの様子がちらっと見えます。
世界の古代湖の魚
ついには日本を離れ、琵琶湖と同じような「古代湖」に済む生き物たちの展示へ。古代湖というのは10万年以上前から存在する湖のことで、その長い歴史によって多様な生態系は育まれていることが多いのです。
バイカル湖のカジカ、ペスチャナーヤ・シロコロブカ(左)とバイカリスカーヤ・ボリシェゴロヴァーヤ・シロコロブカ。名前がめっちゃ長い。
模様から一瞬ヤマメの仲間に見えますが、こちらは「ゴリヤン」というコイ科の魚。
バイカルアザラシは全然ガラス面に近づいてきてくれませんでした……。
タンガーニカ湖のシクリッド達。
これは淡水水族館に行くたびに思いますが、日本産淡水魚は色合いが地味なのでだんだん区別が曖昧になっていくとともに、併せて展示されていることの多いマラウィ湖のシクリッドが実際以上に鮮やかに見える
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
こちらはヴィクトリア湖に水産業のために導入され色々と議論と問題を読んでいるナイル・パーチ。そういえば「ナイルパーチ」という甘ロリ系のブランドがあるらしく、画像検索をすると釣果を求める男たちの画像と甘ロリの服が混淆していて脳がグニグニします。なんでそんな名前にしたんや。
展示水槽の掉尾を飾るのは古代魚、チョウザメ達。そのデカさにこの写真の男児だけでなく多くのちびっこたちが惹きつけられていたのをみることができました。ただ、ここだけ開放水槽で、通りががった社会科見学っぽ女子中学生の集団が「え、な、なんか生臭くない??」と言っていたのもまた印象的でした。実際濃厚な魚臭がする。
ふれあい水槽は水槽内に負圧をかけることで、水槽の横から手を突っ込めるようにした面白い仕掛け。パスカルの原理ってやつなのかな。最初どうなっているかわからなくて、解説員の方に質問してしまいました。
プランクトンを紹介するコーナー。オタクなのでナウシカだ!!って思いました。
おまけ
冬の飼育員激務すぎる…… @ 滋賀県立琵琶湖博物館(Lake Biwa Museum) https://t.co/3PbyB1WZRJ
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
琵琶湖そのものと、琵琶湖に住む生き物、そして暮らしの中の琵琶湖を五感で感じることができる一日いて飽きない博物館でした。素晴らしかった!
さらば琵琶湖、またくるぞ。 pic.twitter.com/5x6Bj6qxXI
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
琵琶湖を知る、滋賀県を知る、滋賀県立琵琶湖博物館 (その1)博物館編
友人の慶事にあわせて京都を訪問し、
hms-ulysses.hatenablog.com
hms-ulysses.hatenablog.com
と2ヶ所、個人的に行きたかったスポットに行ったのですが、その第三弾、滋賀県立琵琶湖博物館の訪問記です。
早起きできてうまく時間を使えれば琵琶湖博物館と京都水族館のはしごできるかなーって思ってたんですが、慶事の後に止めてもらった別の友人の家ですっかりよく寝てしまって
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
となった次第です。バスとJRを乗り継いで昼過ぎに到着。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
館内のセンターホールから広く琵琶湖が見えるようになっています。
烏丸半島周辺の、それほど幅のない辺りでも、「確かに海だな」という風情がある @ 滋賀県立琵琶湖博物館(Lake Biwa Museum) https://t.co/vn2tJrv9Ss
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
滋賀県の動く湖、琵琶湖
さて琵琶湖と言いますとすごい古い時代から存在する「世界でも有数の古代湖」と呼ばれる湖なわけですけれども、別にすごい古い時代から滋賀県の真ん中にあったわけじゃないんだよーと教えてくれるのが最初のA展示室「琵琶湖のおいたち」です。
琵琶湖周辺の地層の切り出し。ハチャメチャに折れ曲がっている地層が地殻変動の激しさを物語っています。
地殻変動の結果、現在の滋賀県と三重県の県境付近にできた「大山田湖」が現在の琵琶湖の祖先であり、そこにはこの写真のような牙と顔の長い古代ゾウ「ステゴドン」などが生息していたようです。そして引き続く地殻変動とともに湖だった時期と低湿地だった時期を交互に繰り返しつつ、段々と北上していっておよそ40万年前に現在の琵琶湖が成り立ったとのことで、なんともスケールの大きな話だ……。
琵琶湖を誕生させた地殻変動は、大陸から日本列島を切り離すこととなり、大陸と日本列島で段々と淡水魚の系統も異なっていくことになります。しかし、琵琶湖には大陸と同系統のコイ科クルター類「ワタカ」が生き残っていて、固有生物の多い琵琶湖の生態系の一端が示されます。地形の変化が遺存者のように固有種を残していたわけで、でかいから固有種がいるってことだけじゃないんですね。
こちらは「琵琶湖の研究室」を概念的に示したコーナー。魚の骨格や標本、地層や化石などが展示され、現在どのようにそれぞれの研究が行われているのかざっくりと示してくれます。顕微鏡とかのぞけて、お子様にも大人気でした。
昔からめっちゃ利用されていた琵琶湖
B展示室は「人と琵琶湖の歴史」がテーマ。固定の遺跡・異物を調査する方法の紹介から始まります。方法っつうか、壁で水域を囲んで中の水を抜きます、みたいな豪快なやつなんですが……。
貝塚の展示も、発掘現場を模しつつ奥に背景置いて、なんといいますか「広がり」をイメージさせようとしているのがいいですね。
江戸時代の産品や水運品目の紹介。
別に室町時代の沿岸の港の様子なども展示されているんですが、「やっぱ京都近いと古くから高度に利用されんだなー」というのが南関東人としての素直な感想です。
展示室の真ん中にドーンと置かれている琵琶湖の水運船「丸子船」とその横は漁船「ハリブネ」(左)。
丸子船は和船の構造材である両舷の「おも木」に巨木を2つに割ったものを使用しているのが特徴だそう。江戸時代中期には1000隻を有に超える丸子船が活動していたものの、東・西回り航路の整備によって少しづつ勢力を減らし始め、明治期以降の鉄道の整備により姿を消していくことになります。*1
ここで展示されている丸子船はかつての姿を残そうと、ベテランの船大工さんが製作したものだそうです。
湖畔、風力発での風車、ソーラ発電パネル、駐車場では犬のイベントという暴力ちゃんの脳内風景に迷い込んだような景色が広がっている…… @ 滋賀県立琵琶湖博物館(Lake Biwa Museum) https://t.co/1piPtOJv3x
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
ちなみに、博物館の屋上デッキから見た極めて現代的な琵琶湖利用(?)。
いま、琵琶湖とともに生きるということ
C展示室のテーマは「湖のいまと私たち」。湖岸のアシ原/カヤ原に住む生き物の展示から始まります。こちらは巣の中で丸まっているカヤネズミ。
カヤ原に関する展示室に切り欠きがあって、下の階の水族展示室の大水槽が琵琶湖を借景にしているのを覗ける。とてもいい。 https://t.co/FsLvNJTDjW
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年11月6日
田んぼの圃場整備が生き物に与える影響とそれを低減させる取り組みについての展示です。
田んぼの生き物としてダルマガエル(だったと思う……)なども展示されていました。
琵琶湖に流れ込む川もまた琵琶湖に大きな影響を与えるということで、源流部の生き物の剥製、林業や治水の様子なども展示されていました。単に湖水面だけが琵琶湖じゃないというのはよく考えられて主張であり展示だと思います。
さて打って変わって雑誌やポスターと日用品や家電製品が並ぶこのコーナー、何かといいますと現代とから段々と過去の時代へと遡っていく言わばタイムトンネル。この先には……
昭和39年の彦根市にあった民家に行き着きます。
ガス台普及前のカマド。「カミクド」とも呼ばれているのは興味深いですね。「おクドさん」だと京都の呼び方なんだけど、この地方独自の呼び方なんだろうか……。
もちろん単に古民家だということで展示されているわけではありません。オモヤと別にカワヤと呼ばれる建物があり、そこでは水路から引き込んだ水を食器や食材の洗い物に使っていました。右の枡形の部分がカミナガシとシモナガシと言われる洗い場。この一番下手にはコイが飼われていて流れてきた食べ残しなどを食べていたとのこと。水とともにあった暮らしを保存して展示しているコーナーなのでした。
「琵琶湖を知る、滋賀県を知る、滋賀県立琵琶湖博物館 (その2)水族館編」に続く予定です