はるばる日本にやってきたメキシコ海軍の帆船「クアウテモック」とホストシップの「おおなみ」を晴海ふ頭で見た
先日、航海の途上に晴海ふ頭にメキシコの軍艦が立ち寄り一般公開するとのことで、ふらふらとバスに乗って見学してきました。その名も練習船「クアウテモック」。
ベテランだけどとても美しい帆船「クアウテモック」号
晴海ふ頭に接岸中のメキシコ海軍の練習船「クアウテモック」。アステカの最後の王の名前をとっています。アラフォー世代だと「わが名はクアウテモック」のセリフで始まる「Age of Empires II」のアステカキャンペーンを思い出す人も少なくないのでは。
帆装形式はバーク*1で補助にディーゼルエンジンを搭載。全長は67m強*2だそうです。帆船を練習船に使うのは、様々なものが手動なので、船乗りとしての基礎の基礎を学ぶのに適しているからだとか。後ろにちらっと見えているのは海技教育機構の海王丸。
ついた時にはすでに始まっていたので全容はわからないのですが、するするっとマストに上り帆装をいじる船員(練習生?)さんたち。
こちらのほうがわかりやすいか。様々に調子を変える号笛に合わせてマストにとりついた船員さんたちが作業を進めていくのは見てて非常に興味深かったです。
船首から。帆装作業の展示を終えて、船員さんがマストから下りてきています。しかし、帆船のなんと多くのロープを装備していることか!
船首楼*3末端には白く塗られた大砲が2門設置されていまして、これはもちろん戦闘用ではなく、儀礼の礼砲を撃つためのものです。3インチ級かな?ちなみにこの大砲の尾栓*4の形式は大変珍しいものであるということを帰ってからツイッターで知りました。
いろいろな銘板やら時鐘やら。これによるとスペインのビルバオで1982年に建造されたとの由。しかし、目に見える範囲はどこもよく手入れされていて。35年の年月を重ねた船にはとても見えません。
船尾舵輪。帆走時は帆と連携して舵を取るので帆が見渡せる船尾に搬送用操舵装置が設置されています。金色にピカピカ光っているのはコンパス。
こちらは上掲写真の白い船室の前部にある操舵装置。舵輪に向かって左はコンパス、右はエンジンの状況を表すエンジンテレグラフ。ほかにもっと近代的な装備の操舵室があるはずなんですがどこにどうあるのかは聞きそびれました。スペイン語、ビタイチわからないので人に話しかける勇気がなかった……。
搭載艇のつやつや具合といい、手前のロープの扱いといい、実に気を配られているなあと思いました。
甲板上を一周しただけで船内は見れませんでしたが*5、そもそも外国の帆船を見れる機会というのがなかなかないので非常に楽しめました。あと見学したのが昼前だったので、厨房からほのかに辛そうなおいしそうなにおいが漂ってきたのが印象的でもありました。
ホストシップ「おおなみ」をぐるっと一周
せっかく来たので、「クアウテモック」の接待役たるホストシップとなった護衛艦「おおなみ」も見学してきました。
艦尾から。左の四角い穴はソナー*6の繰り出し口。右の丸い二つの穴は対魚雷用おとりの投下口。
艦首。レンズの効果で5インチ砲の砲身がめっちゃ伸びて見える。
艦中部の魚雷発射管とその説明。しかし、何に勝つんだ何に。
艦橋ウイング下には厳重にカバーされた12.7mm機銃。護衛艦に初めてこれが搭載された時には、艦船ファンとして「ほかの兵装に比べるとあまりに小口径で、だからこそ現実的で、一番使われる可能性高そう……」と思っていましたが、今のところ搭載こそ当たり前になったものの、とりあえず使われることはないまま推移してるの本当に良かった。
こういう突起物のガードとか、海自も手馴れてきたよなあ。
ヘリコプター格納庫。感想アンケートコーナーに、「12~24*7歳の方はアンケートを書くと艦橋見学ツアーに参加できます」というようなことが書いてあって、なるほど募集と見学者限定のバランスをとった戦術だなと感心。
ヘリコプターの着艦装置。ここにワイヤを下して確実に艦上に降りられるようにサポートするためのもの。
ヘリコプター甲板から見たクアウテモック。
洋上給油用のパイプ。
こちらはちょっと変則写真。ふ頭の管理会社が真水の供給弁を開けたところ。おおなみに補給するのかな。
クアウテモックは外国の船ですし長途の途中なのであれですが、日本の護衛艦については
ホストシップの「おおなみ」の方も見学してきましたが、見学コースが基本的に外回りだけなの、整理整頓とか管理の面でやむを得ないところがあるのはわかるなりに、食堂くらいでいいから生活の場の面もちょっと見せた方がいいんじゃなかやろうかと思ったりもしました。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2017年9月10日
などと。
一般公開の手際が良くなったの間違いないので、だからこそ悪い意味でマンネリ化しないでほしいなと思いつつ、そういうのは基地祭とかくらいでしかやらないのかもなーとも思い、次はもうちょっとっ船の中を見たいと願いながら帰路についたのでした。
晩夏の那珂川でアユを食べたり魚を見たりしたこと
2017年晩夏、まったく別の趣旨の飲み会で意気投合したインターネットのアクア趣味よりの人と「みんなで水族館遠足行ったら面白いんじゃないでしょうか」という話になり、車出してもらって行ったなかがわ水遊園+αのエントリになります。
アユを食らうぞ
すんだっずんだっ
などと手をベタベタにしながらずんだかき氷を食べたり、渋滞に巻き込まれたり農協の直売所でナスやキュウリやキノコや桃を買い込んでいたので、目指す那珂川の河畔についたのはお昼近くでした。
簗*1でちょっと水遊び。
水はかなり冷たくて、本格的に浸かったらかなり身体が冷えてしまいそう。川の真ん中のほうでずっと友釣りや投網やってる人たちがいましたが、釣り用の防水スーツって断熱性も高いのかな……
そしてアユ!
もいっちょアユ!
正直この日栃木来た目的の半分は、僕がこういうざっくりとしたアユを食べたかったからなんですが!
数尾に一尾子持ちアユも混じっていて大変満足しました。むしゃむしゃとしっぽ以外全部食べた。今年はお誘いいただいて上品にアユを使った料理を食べる機会もあったのですが、こういうやつ、これはこれで年に一回くらいやりたくなるんです。
那珂川のアユ以外の魚たち、なかがわ水遊園
だいぶ寄り道したけど、本日の目的地はここ。 場所: 栃木県なかがわ水遊園(Nakagawa Aquatic Park)https://t.co/IY8oxAz9I6
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2017年8月26日
こちら「なかがわ水遊園」という大きな公園施設の中の水族館「おもしろ魚館」という位置づけ。県の水産試験場の横にあって、内陸県栃木を逆手にとった「那珂川」を中心とした淡水中心の水族館です。
僕は5年ぶり2度目になります。
導入展示として入り口の横にオーストラリアの海の水槽が見えるようになっているの淡水水族館&内陸県っぽいんですよね。
入り口からエスカレーターを下ると山奥の渓流を模した那珂川のジオラマ水槽が始まるのですが、大事に飼われているせいか
ニッコウイワナも
ヤマメも
婚姻色の出たウグイやアユも
カワムツも、ちょっと想像を上回る大きさに育ってます。
最下流水槽のコイもでかい……。
那珂川の流れだけでなく河口の先の海の魚たちや
川の周りの池に住む魚たち*2
中禅寺湖の魚たち*3や
水産試験場の生み出した名物、ヤシオマスまで「栃木県」にまつわる魚が広く展示されています。「渡良瀬遊水池の魚」という水槽もあって、栃木県は領土意識がしっかりしていると思いました。
あと日本の希少魚ということとでタナゴ類やオヤニラミなども色々いましたがフォトジェニーなのはでかい魚なんだよな……。
いわゆるドクターフィッシュ体験水槽です。余談ですが一緒に行った人たちと比べるとどうも若い人ほどドクターフィッシュが寄ってきている感じがした。
名物、アマゾン大水槽
日本の魚エリアを抜けると水中トンネルが見事なアマゾン大水槽が現れます。ここの開館当時は水槽内トンネルが珍しく、なんだかんだ話題になっていた記憶。ここも
オキシドラスだの
コロソマだの
ピラルクだのみんな巨大にのびのびと泳いでおります。ピラルク、感覚的には2畳くらいあったもん。
もちろんアマゾンの様々な生き物を紹介するための小水槽もあります。この辺の生体は大体ちょっとでかいアクアショップでも見ることができちゃったりしましますが、
水槽上部を温室にして、植物、両生類、爬虫類*4、カピバラまで展示するのは水族館「らしさ」ですよねー。
カピバラ、スロープを降りて大水槽の各所に悠々と泳いでいくことがあるそうなのでその姿をいつか見たい。
そして最後に「あこがれの海」ということで入り口にあった水槽の裏側にたどり着くのは実に心憎い演出であり、よく考えられていると思います。決して大きい水族館ではないんですがなかがわ水遊園、侮りがたし。
余録:金魚展と温泉
イベントコーナーでは飼育器具メーカーなどの後援で金魚展が催されていました。最近、金魚の展示をする園館増えてるように思うんですが、金魚は「人を呼べる展示」ということになってきているんだろうか。
ということできれいな金魚たち。
ちょっと変わってて面白かったの、この一見モデルルームに見える部屋も金魚展の一環で、ニトリ協賛の「暮らしの中に金魚を」というような展示なんです。よく見ると棚やテレビの横、テーブルの上にも金魚水槽が……。
ちゃぶ台の上にもどんぶり金魚。
アートアクアリウムの正反対の展示、と言えるかもしれません。
しかし、
育ちきったピンポンパールはクリーチャー感あるし下から見る(右)ともう何の生き物だかわからん…… 場所: 栃木県なかがわ水遊園(Nakagawa Aquatic Park)https://t.co/RAkGIh0Ije
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2017年8月26日
ゆっくり水族館を見学し、公園内の直売所や道の駅などを冷かしつつ近所の馬頭温泉郷へ。
あとですね、那珂川町の温泉、「かりがねの湯」なんですけれども、お湯は加水循環のまあ、そういうお湯なんですけれども、場所が段丘の上で、那珂川の流れを見下ろし、夕日が日光ー塩原の山々に落ちていくのをのんびり露天風呂から眺めることができて、サイコーなスポットだったことをご報告します
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2017年8月26日
✖かりがね〇ゆりがね
さすがに露天風呂で写真は撮れないので施設の横の展望スポットからの写真ですが、こんな感じで、那珂川と山々の織り成す夕景は本当に最高でした。
ゆりがねの湯|那珂川町観光協会オフィシャルサイト 馬頭温泉郷
初夏の那須に行って高原と動物園を楽しんできた/高原編
那須動物王国に行く前にフラフラしたところをざっくりと。
何はなくとも湯本温泉の上の殺生石園地まで。一部桟道が工事中でした。
蛇を助けて温泉蒸気からの湯の花の取り方を教えてもらったというお話。
みなさまご存知、玉藻の前こと九尾の狐が安倍晴明との対決に破れここまで落ち延び、ここでもまた朝廷軍に討伐されて石に姿を変えたが、その呪力は衰亡せず近くを通る生き物を生害したと伝わるのがこの「殺生石」一番上の四角いのじゃなくて左手の注連縄がめぐらされているやつですね。有毒火山ガスの噴出があったり、それが弱まっていったりしたのが説話に結び付けられたのでしょうけれども、なかなか良くできた話と思います。
殺生石の手前にはたくさんのお地蔵様が。火山ガスが出る荒涼としたところを賽の河原に見立てるのは日本古来のアレですね。
眼下には那須野が原が。
温泉神社の参道へ。
殺生石園地が一望できました。
温泉神社の境内は初夏の緑に覆われてめっちゃ雰囲気があったし、涼しかった。
車で少し旧ボルケーノハイウェイを進んだところ。こうしてみるとたしかに臼状に見える茶臼岳。ロープウェイの支柱と山頂駅が見えます。
つつじ群生地で展望台探したけど見つからずひたすらアップダウンした山道。
やたらいた尺取り虫。
そして展望台のこの眺望!誇張なしに白河市から筑波山まで見えました。
オリジナルサイズの連坊写真はこちらです
https://cdn-ak2.f.st-hatena.com/images/fotolife/h/hms_ulysses/20170603/20170603112934_original.jpg
涼しい那須……また行きたい……。
メカメカしい機械たちと熱心な係員さんたち、とても楽しかったJAMSTEC横須賀本部一般公開(その1 海底広域研究船「かいめい」とそのメカ)
あいにくの雨だけど
毎年の5月半ば、海洋開発研究機構(以下JAMSTEC)の横須賀本部が一般公開され、JAMSTECの保有する船艇や機器・研究施設の一部を間近に見ることができます。以前一度行ったことがありましてすごく面白かったのでまたいつか行こうとしていたところ、ちょうど日程が被るように「野毛で飲みましょう」という誘いがあって、日が高いうちは一般公開に行ってあれこれ見て、戻りながら野毛飲みだな、「帰りがけ」*1で0次会するのもありだななどと意気込んでいたのですが……
雨、それも結構強い雨。
お目当てのひとつだったサメの解剖が中止になっていたことにしょんぼりしつつ、追浜駅から無料のシャトルバスで横須賀本部に向かいました。
本日のお目当て海底広域研究船「かいめい」。昨年3月に就役した新鋭船です。
この桟橋は横須賀港の北端と行った位置で、すぐ横が日産自動車の専用埠頭、見えにくいのですが、吾妻島の向こうに横須賀に入港せんとする「あきづき」型護衛艦の姿が見えたりします。
長期間の研究航海を支える居住区画
タラップを上がって順路の一番最初にあるのがこの食堂。写真後ろ側がキッチンでカウンターの守られた料理を自分で取っていくビュッフェとなっています
飲料コーナーにはネスカフェのドルチェ・グストっぽいものもあり、飽きないような工夫だよなーと思いました。俺はもう会社の近くの自販機とコンビニ飲料には飽きてきたよ……。
自販機の横の階段を上がって、こちらは首席研究者の部屋。長期の研究航海のために基本一人一部屋の割り当てになっている「かいめい」の中でも特に広く、寝室と執務室が別れたスイートになっています。ユニットバスも備え付けられているそうで、一般船舶あるいは自衛艦での船長/艦長/司令に相当する待遇です。*2
こちらが一般の研究者寝室。洗面台に冷蔵庫付きとこちらも設備充実。収納スペースこそ限られていますが、乗り組んだ研究者も陸の自分の「研究室」に近い感じで使えるんじゃないでしょうか。
こちらは別の研究者寝室。違うところが一点あるんだけどわかりますかね?
そう、ベッドの上の毛布のたたみ方が違いまして、上は「八重桜」、下は「二枚貝」があしらわれた飾り毛布となっています。司厨部*3に皆さんの心配りでしょう。一般公開向けなのか、実際の研究航海のときも初日は準備しておくのかは不明。他の部屋だと「松竹梅」「二輪草」「富士山」などが飾ってありました。
最新機器を動かす機能が集約されたブリッジ
居住区から階段を上がっていくとブリッジに出ます。品のいい調度の給湯スペースがあるの、一つは長丁場の作業時にブリッジに詰めっぱなしになる船員さんたちのためなのかなと思います。あと壁の裏手側に第1研究室という音響関係の調査を行う際のオペレーションルーム兼研究室があるのでそちらへの給湯も意図されていそうです。
ブリッジを両側から。大変広々としており、両端では後ろ側にも窓が設けられていて、広い視界が確保されています。それっぽく言うと艦橋ウイングまでエンクローズドされている。
操舵輪正面からの視界。ブリッジのコンソールはもちろんピカピカの電子化が進んだ現代的なもので、多目的っぽいディスプレイにはレーダー画像(左)、電子海図(右)、および推進装置の説明動画(真ん中)が映されていました。
さて、この「推進装置」が「かいめい」の船としての大きな特徴の一つで、「アジマス電気推進」という仕組みを採用しているのです。
現代の多くの船舶は船体の下のほうに機関室を配置してそこでエンジンを回し、その回転をスクリューに伝えることで前後に進みます。車のエンジンとタイヤのイメージでだいたいあっている感じ。これに対して「かいめい」は船体内の発電機で発電した電力を船体後尾に装備した推進ポッドに伝え、ポッド内のモーターを回してスクリューを回して進みます。車で言うとタイヤを直接モーターで回しているイメージになりますね。では、このポッドを使った「アジマス電気推進」のなにが従来の方式に比べて優れているかというと、船体内に力を伝えるでかい回転軸を通さないで済むためレイアウトの自由度が増すこと、また推進ポッドは360度回転できるため、従来のスクリュー+舵の推進装置に比べて細かい操船操作ができます。*4
上の写真で左側に写っている、プラスチックカバーの掛かった、なんて表現すればいいんだろう?取っ手の付いた筒がアジマス推進機の個別の操作機で、取っ手の部分を倒した角度で速度を、筒の部分の回転角度で方位を調整します。GPSにアジマス推進器プラス船体に装備された位置調整用の小型推進機*5を組み合わせることで、潮や風の流れがあるところでも一定地点にとどまったまま、調査を続けられるようになっているとのこと。
雨をついて採取・研究区画に降りていきます。
採取・研究区画
観測用のウインチシステム(の一部)。機材によってさまざまなロープやケーブルが使われる。深海に機材下ろすの色々と苦労があるとのこと。
こちらは海水調査センサーを下ろすための装置。海洋調査船だけあって、とにかく海中にものを下ろす機械がいっぱいです。これらの操作は上記のブリッジではなく甲板や船体に設けられた制御装置にて行われます。
甲板をひとつ降りるとそこには水深3000m級の無人探査機とその投入装置が。「かいめい」の基本装備のひとつです。上のメッシュになっている円筒の部分が「投入装置」、下のオレンジの部分が「無人探査機」。黄色と青の円形のやつがスクリューかな。
大きな開口部から船体内に戻ります。下に鉄のレールが引かれていることから分かるように海中から引き上げた試料を台車で研究室に運び入れられるようになっています。右側、人が立ち止まっているところが研究室の入り口です。
第3研究室内。
第3研究室と格納庫の間には整備室がありました。「せっかく海に出たはいいが機材が壊れて採集も研究もできない」という事態を防ぐためでしょうか、民間船にしてはなかなか充実した雰囲気。
こちらは格納庫。護衛艦のヘリ格納庫を見慣れた目にはちょっと狭い。ここにも機材移動用のレールが敷かれているのが分かるかと思います。ちなみにここに格納されるのは
このどこかFGOのパッションリップさんみを感じる試料採集装置の「パワーグラブ」など*6。左の爪型のが岩石など硬いものの採取用、右のグラブ型のが柔らかい海底面をそのまま掬い取る*7用。グラブ型のはどれくらいの塩梅で使用するとちょうどいい量の資料が取れるのかなど、まだ試行錯誤中とのことでした。
後甲板。奥の青いのが重量物を海中に投入するためのAフレームフクレーン。右の白いのは15トンクレーンで…まあここも海中にものを下ろす機械がいっぱいです。あと、ちょっと勘の良い方には目についていると思うのですが、「かいめい」作業甲板が木の板じきになっています。木は使っているうちに傷んでくるし経費もかかるので、どうしてこうしたのかなーと思って乗組員の方に聞いたところ色々利点があるようでして
- 鉄の甲板+塗料だと甲板作業の際暑すぎる
- いろいろな機材を船上で取り回すので甲板に傷がつきがち。鉄の甲板だと錆止めも兼ねてキズにペンキを塗っていかないけないが木だとそこまで気にしないでいい
- 濡れても滑りにくい
などが木の甲板の採用理由だとか。
ここいらで下船。
他にも「かいめい」は無線LAN完備なんですがその管理を行っているのは他船での「通信長」に当たる「電子長」さんで、その電子長さんに色々お話うかがっている時に「船のシステム化がどんどん進んでいくと『通信』部署の乗組員はいわゆる船員の枠組みから外れていくかもしれないですね」なんて仰っていたのが印象に残りました。乗組員のみなさん、おっさんの素朴な疑問にも嫌な顔ひとつせずとことん答えてくれるのですごい楽しかった。
小さな聖なる丘の小さな動物園、夢見ヶ崎動物公園
そもそも「夢見ヶ崎」とは
夢見ヶ崎動物公園、身の回りの人に聞いてもあまり知名度がなくて、「そもそも夢見ヶ崎ってどこなの?」と言われがちなのですが、川崎市の南東方面の2/5あたり、具体的に言うとJR南武線鹿島田駅、横須賀線*1新川崎駅から西に少し歩いたところにあります。
新川崎駅出てすぐの新鶴見機関区をまたぐ跨線橋。昔は右の屋根付きの留置線に除雪用のラッセル車を連結したDE15形ディーゼル機関車が停められていて、そこかしこにEF64形電気機関車がいたんですが、この10年でガラッと陣容が変わりましたね……。
さて「夢見ヶ崎」という地名、なんだかニュータウン系の美称っぽい感じがしますが、実は室町時代後期の武将、太田道灌がこの地に城を築こうとした際に凶夢を見たためこれを諦めた、という伝承による地名なんだそうです。
そもそもこの夢見ヶ崎(またの名を加瀬山)、4世紀後半から7世紀後半にかけて築造された11基の古墳が残されており*2、古代の鶴見川と多摩川の流路は現在と異なっていたと思われますが、下住吉台地の終端から始まる両水系による沖積地はそれなりの農業生産力を持ち、そこを睥睨できる加瀬山が信仰ないしは権力の象徴として地域住民の注目を浴びていたであろうことは想像に難くありません。
現在でも日蓮宗のお寺(了源寺)と熊野神社、浅間神社、天照皇大神社の3つの神社が座していて、特に天照皇大神社では配祀神に白山比咩命、第六天神、石神あり、境内社に浅間神社や三峰神社があり、と東国の信仰全部盛りみたいなところありました。
ラマ舎の前の熊野神社。境内に古墳あり(加瀬台4号墳)。
シカ舎の前の冨士浅間神社。お社までの盛り上がりがすでに古墳(加瀬台5号墳)。
天照皇大神社。これもお社までの盛り上がりが古墳(加瀬台7号墳)。
こちらは公園の東端に位置する戦没者慰霊塔。
ともあれ動物園内部へ
それはともかく。
入口。実は新川崎から徒歩で訪れる場合は、こっちより了源寺のわきの階段を昇ってくるルートの方が若干近道だったりします。
入ってすぐにあるワタボウシパンシェの飼育舎。裏に入っちゃっててあんまりよく見えず……
シセンレッサーパンダはお昼寝中。レッサーパンダは寝てても動いててもどこの動物園でも人気です。
広々としたマーコールの放飼場。右の方には岩場がありますがほとんどのマーコールが左の方に集まって食事タイム中。
オスの角がコルク抜き上にくるくるっとなっているのが特徴です。
めっちゃ小さい仔だなと思ったんですが、検索してみるとどうも数日前に生まれたばかりの赤ちゃんみたい。まだ地球にあんまり慣れてないみたいで、ぴょこんぴょこん飛び跳ねるように歩いていました。
水回り担当、水禽エリア
のんびり目に泳ぐフンボルトペンギン。
チリ―フラミンゴ。右の池にはイシガメがいます。不思議な混合展示ではある。*3
餌がいいのか陽を浴びた羽の色が素敵です。
親亀の上に子亀が乗ってる!実際の血縁関係は不明ですが……。こちらはクサガメとアカミミガメという外来種2種が飼われている水槽。
ニシトビ。
水槽を掃除されているカミツキガメもいました。
よく考えると「水禽」全然いなかったなこのエリア。
もう一つの見もの、蹄のある生き物たち
ハートマンヤマシマウマがかなり近くで見えます。現在の日本人が近寄れるウマって、ポニーだったり、競走馬系だったりするわけですが、シマウマは彼らよりなんかこう厚みがあって存在感があるんですよね。横にいたカップルが
「えっ、シマウマ、なんかでデカくない……?」
「うん…なんか背は高くないけどデカい……」
という会話を交わしていたのが聞こえてきた時、心の中で「わかるわー」と絶賛同意していました。
放飼場の周りにはこんな注意書きも。
光さす放飼場で寝ているラマ。
起き上がって草を食べまくるラマ。
このエリアはもともとは川崎市が中国の瀋陽市を友好都市提携を結んだときに贈られたヘラジカとその子孫の放飼場だったのですが、2013年に最後の1頭が死んでしまってから代わりにラマの放飼場となった模様。
ヘラジカ、つぶらな瞳のわりに身体がとても大きくて、「シカ」というもののイメージを裏切ってくる素敵な生き物なためぜひまた動物園で姿を見たいのですが、生息域が口蹄疫や慢性消耗疾患の発生地であるため、家畜伝染病予防法上、生体の輸入は難しそうです。
2008年に夢見ヶ崎動物公園行った時に撮影していたヘラジカ。
そうそう、シカといえばお前たちくらいのサイズ感だよな……。
眠そうなヤギのタンゴさん。名札とかついてるけど特に常設のふれあいコーナーがあるとかではない。
小動物舎と小獣舎とあと鳥がめっちゃメンチ切ってくる
訪問したのが晩春から初夏の変わり目、ちょっと暑い日の午後だったため、省エネモードの動物が多く……
昼寝をしているアナグマ。
アライグマ(左上の毛玉)も寝てた。巣箱の入口が原産地にちなんで北アメリカ形になってるのクール。
暑くて水を飲むハクビシンとそれを邪魔するハクビシン。
平べったくなってωを冷やしてるっぽいアカリス
伸び切ったケープハイラックス。
望遠レンズで写真撮ってたらなんかインコとかオウムのみなさんにガンを飛ばされた……。
日本の国鳥、キジは日光の調子とも相まって非常美しい一枚が撮れました。
狭いながらも楽しい我が家、サル舎・レムール舎
昨今の動物園の様子から見ると少し手狭に見えるサル舎のゲージたち。3種の新世界ザルが飼育・展示されています。
ぴっちりとケージに張り付いて愛想を振りまく若干ムッチリとしたフサオマキザルさん。
宝くじ協会からの援助で建てられた少し現代的な「レムール舎」も植生はすっかり日本の藪という感じでしたが……
なんかヘブン状態なブラウンキツネザルもいるからこれはこれでいいのかな。
まとめ
開園して約45年、少しづつ改修されているなりにしかし結構古びているのは事実で、人口が下回ってる千葉市動物公園はおろか、下手すると市川市動植物園にも派手さで負けてるぞ!どうする川崎市!!みたいな感じがするところもあります。しかし、海外の生き物を色々取り揃えて行くとめちゃめちゃコストがかかる上、横浜市が3つも持っている動物園とが真っ向勝負になるし、といって「川崎の生き物」を取り扱っていこうにも「川崎の生き物…とは……?」となりかねないところがあるのも理解できます*4。動物が見れる大きめの公園として地域住民の方々に愛されてるっぽいので*5、うまい感じに愛され続けていってほしいなあと思った次第です。