はるばる日本にやってきたメキシコ海軍の帆船「クアウテモック」とホストシップの「おおなみ」を晴海ふ頭で見た
先日、航海の途上に晴海ふ頭にメキシコの軍艦が立ち寄り一般公開するとのことで、ふらふらとバスに乗って見学してきました。その名も練習船「クアウテモック」。
ベテランだけどとても美しい帆船「クアウテモック」号
晴海ふ頭に接岸中のメキシコ海軍の練習船「クアウテモック」。アステカの最後の王の名前をとっています。アラフォー世代だと「わが名はクアウテモック」のセリフで始まる「Age of Empires II」のアステカキャンペーンを思い出す人も少なくないのでは。
帆装形式はバーク*1で補助にディーゼルエンジンを搭載。全長は67m強*2だそうです。帆船を練習船に使うのは、様々なものが手動なので、船乗りとしての基礎の基礎を学ぶのに適しているからだとか。後ろにちらっと見えているのは海技教育機構の海王丸。
ついた時にはすでに始まっていたので全容はわからないのですが、するするっとマストに上り帆装をいじる船員(練習生?)さんたち。
こちらのほうがわかりやすいか。様々に調子を変える号笛に合わせてマストにとりついた船員さんたちが作業を進めていくのは見てて非常に興味深かったです。
船首から。帆装作業の展示を終えて、船員さんがマストから下りてきています。しかし、帆船のなんと多くのロープを装備していることか!
船首楼*3末端には白く塗られた大砲が2門設置されていまして、これはもちろん戦闘用ではなく、儀礼の礼砲を撃つためのものです。3インチ級かな?ちなみにこの大砲の尾栓*4の形式は大変珍しいものであるということを帰ってからツイッターで知りました。
いろいろな銘板やら時鐘やら。これによるとスペインのビルバオで1982年に建造されたとの由。しかし、目に見える範囲はどこもよく手入れされていて。35年の年月を重ねた船にはとても見えません。
船尾舵輪。帆走時は帆と連携して舵を取るので帆が見渡せる船尾に搬送用操舵装置が設置されています。金色にピカピカ光っているのはコンパス。
こちらは上掲写真の白い船室の前部にある操舵装置。舵輪に向かって左はコンパス、右はエンジンの状況を表すエンジンテレグラフ。ほかにもっと近代的な装備の操舵室があるはずなんですがどこにどうあるのかは聞きそびれました。スペイン語、ビタイチわからないので人に話しかける勇気がなかった……。
搭載艇のつやつや具合といい、手前のロープの扱いといい、実に気を配られているなあと思いました。
甲板上を一周しただけで船内は見れませんでしたが*5、そもそも外国の帆船を見れる機会というのがなかなかないので非常に楽しめました。あと見学したのが昼前だったので、厨房からほのかに辛そうなおいしそうなにおいが漂ってきたのが印象的でもありました。
ホストシップ「おおなみ」をぐるっと一周
せっかく来たので、「クアウテモック」の接待役たるホストシップとなった護衛艦「おおなみ」も見学してきました。
艦尾から。左の四角い穴はソナー*6の繰り出し口。右の丸い二つの穴は対魚雷用おとりの投下口。
艦首。レンズの効果で5インチ砲の砲身がめっちゃ伸びて見える。
艦中部の魚雷発射管とその説明。しかし、何に勝つんだ何に。
艦橋ウイング下には厳重にカバーされた12.7mm機銃。護衛艦に初めてこれが搭載された時には、艦船ファンとして「ほかの兵装に比べるとあまりに小口径で、だからこそ現実的で、一番使われる可能性高そう……」と思っていましたが、今のところ搭載こそ当たり前になったものの、とりあえず使われることはないまま推移してるの本当に良かった。
こういう突起物のガードとか、海自も手馴れてきたよなあ。
ヘリコプター格納庫。感想アンケートコーナーに、「12~24*7歳の方はアンケートを書くと艦橋見学ツアーに参加できます」というようなことが書いてあって、なるほど募集と見学者限定のバランスをとった戦術だなと感心。
ヘリコプターの着艦装置。ここにワイヤを下して確実に艦上に降りられるようにサポートするためのもの。
ヘリコプター甲板から見たクアウテモック。
洋上給油用のパイプ。
こちらはちょっと変則写真。ふ頭の管理会社が真水の供給弁を開けたところ。おおなみに補給するのかな。
クアウテモックは外国の船ですし長途の途中なのであれですが、日本の護衛艦については
ホストシップの「おおなみ」の方も見学してきましたが、見学コースが基本的に外回りだけなの、整理整頓とか管理の面でやむを得ないところがあるのはわかるなりに、食堂くらいでいいから生活の場の面もちょっと見せた方がいいんじゃなかやろうかと思ったりもしました。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2017年9月10日
などと。
一般公開の手際が良くなったの間違いないので、だからこそ悪い意味でマンネリ化しないでほしいなと思いつつ、そういうのは基地祭とかくらいでしかやらないのかもなーとも思い、次はもうちょっとっ船の中を見たいと願いながら帰路についたのでした。