霧で深山幽谷の雰囲気を醸し出す榛名神社とその隠しステージがすごかった話
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こちらのイベント、14時前にはだいたい見尽くした感じとなり*1、さてもうひと遊び何かしたいと思ったところなのですが生憎の雨。特に何をするというのが思いつかないままに、ままよ、ドライブしつつ温泉地を目指そうと、ぐねぐねの山道を南側から辿って榛名湖方面を目指します。途中の峠道2車線ないところが結構あって、運転してて楽しかったんですが、それはそれとして今回のメンバーに皆さんが車に強くて本当に良かった。運転手なので道中の写真ナシ!
霧に抱かれて静かに眠る?起きてる?榛名湖
県道28号を抜けるとそこは榛名湖。
霧に包まれた湖畔に立つ謎の建物*2。どう見ても中で難しい殺人事件が起こっているパターンですよこの霧のまとい方。興奮してみんなで写真を撮りまくる。
湖畔脇にあった完全に人がいなくて空調も全く入っておらず、屋外より寒くて、文明崩壊後かよという風情があるビジターセンター。
あとなんかビジターセンターの駐車場に暇そうなウマと暇そうな人間がいました。この天気だと馬に乗って散歩、という人も少なかろう。
少ないと言えば、榛名富士の山頂にも雲がかかっていて、榛名山ロープウェイ自慢の2両連結ゴンドラにもほとんど人の姿は見られませんでした。僕は高いところが大好きなので、ロープウェーに乗りたかったのですが、流石にこの雲行きでは意味ないなーと途方にくれていると、仕事柄群馬に詳しい同行者の一人が
「せっかくここまで来たんだから、すぐそこですごいいい所だよ」
と榛名神社を激プッシュしてくれまして、結果から言うとこれは大正解でした。
深山幽谷に佇む榛名神社
榛名歴史民俗資料館前の駐車場に車を止めて坂道を上りながら榛名神社を目指します(写っているの知らない人たちです)。これだけの傾斜のある門前町、珍しい気がする。なお、「榛名神社駐車場」というのぼりが各所に立っていて、車運転しているときにはよくわからなかったのですが、どうも市が直接設置した公営駐車場の他、宿坊や商店の駐車場も参拝客駐車場として利用可能のようです。
二の鳥居。
随神門(国指定重要文化財)。
杉並木の参道。
苔むした参道の手すりも例えば夏の日差しのもとで見たらイメージが結構違うんだろうな。
桟道の中には塞の神を祀った社がありました。侵食の激しい崖沿いに塞の神が祀られているのは興味深い。
日々山体が削られていく火山の荒々しい様子が見て取れます。
瓶子の滝。こちらの侵食の様子も面白い。滝壺には氷がまだ残っています。
仏堂形式で建てられた神幸殿(国指定重要文化財)。神仏習合の名残を見ると、がぜん古い伝統に触れた感じがしますね。
階段下の杉は武田信玄が箕輪城攻めに当たって矢を立てて祈願したという矢立杉。
山門をくぐりいよいよ本堂へ
神門(左)と双龍門(国指定重要文化財)。
階段が続いた上にこの霧。気温は決して高くないのにこのへんで段々蒸し暑くなってきていました。
あといま「国指定重要文化財」って書くの楽しくなってきた。
双龍門の扉の龍神様。躍動感ある。ここまでディディールが残ってるの凄いですね。
左端から神楽殿・額殿・本殿(いずれも国指定重要文化財)。山中の僅かな土地に山肌と杉の巨木に抱かれるように立っているのが印象的で、昔の人々の山岳信仰感のようなものがうかがえる。
なんでもモノクロにすればエモくなるだろうという試みです。怒らないで……。
欄間だけでなく床下まで細緻な意匠が施されていて、古より寄せられていた信仰の篤さを思わせます。
隠しステージ、「榛名川上流砂防堰堤」
と、本堂・拝殿の裏の階段を降りていくと建物の壁に「→ 砂防堰堤 国登録有形文化財」なるそっけない案内板がありました。同行者の1人が治山・治水施設好き*3だったこともあり、ヨシ、行ってみましょう、ということに。
「クマ出没注意」の看板や「番所あと」の看板など見つつ川筋を辿ると。
見えてきました。
練石積みの実に見事な堰堤です。
数日続いた雨の後でもこの程度の水量であることが、この堰堤が治水ではなく砂防のための施設であることを如実に語っています。昭和30年から榛名神社などを土石流災害から守っている由*4
整備中の遊歩道のを登ってたどり着くのは
堰堤天端。作られて60年たち、堰堤の貯砂容量はすっかり使い切られています。さらに少し歩くと向こうにうっすらと何やら直立したものが見え……。
「うわ、めっちゃ雰囲気ある……」
「これ絶対暴力ちゃん*5が大好きなやつだ」
「霧の夜だけに動き回り、目撃した生き物をすべて死なせるオブジェクトにしか見えない……」
砂防堰堤内ということで土質の違いでもあるのでしょうか。普通の森林とはちょっと違った雰囲気の林が育ちつつあり、天候と暮れかけの薄い日差しが相まってなんだか『裏世界ピクニック』の裏世界に迷い込んでしまったかのような気分になってきます。
なお、帰ってから調べたところこれは「九折岩(つづらいわ)」という奇岩だそうです。
さらに日が暮れると、何気ない門前町の親子までこの感じ。霧の画を作る力強すぎる……
その後、特に怪異に会うことはなく下山。年度始めとは言えどようにこんなに人が少なくていいのかという伊香保温泉街を散策し、「石段の湯」で一風呂浴びて帰途へ。石段の湯は露天風呂こそないものの、お湯の印象がくっきりしていて、また空いているのでゆったりと入浴できて大変良かったです。晴れてると混むのかな?それとも温泉旅館街の立ち寄り湯ってちょっと時間遅くなるとこんなもんなんだろうか。
帰り道、車内で雑な会話が盛り上がり、勢いのままにうちで酒盛り→翌日昼間までダラダラ、といった流れになったのですが、それはまた別の話。