東京みなと祭2018で公開されていた消防艇「おおよど」とミサイル護衛艦「はたかぜ」
東京みなと祭というイベントで毎年「珍しい船の公開」があるのですが、今回は27日の日曜日に一般公開された東京消防庁の消防救助艇「おおえど」と海上自衛隊のミサイル護衛艦「はたかぜ」を見学しました。
消防機関では初のタグボート型消防救助艇、東京消防庁の「おおえど」
こちらがこの4月に就役した、東京消防庁最新鋭の消防救助艇「おおえど」です。国内消防機関では初*1のタグボート型消防救助艇で、(事故発生)船を押すのに適した防護材のついた艇首、船を引っ張る際に作業しやすいよう低く開けた後部が見て取れます。各放水銃、放水砲を合計すると毎分23,000Lの大量放水が可能とのことで、これは海上保安庁の消防巡視船「よど」型を上回ります。
東京消防庁の「おおえど」紹介ページはこちら
東京消防庁<組織・施設><消防装備><消防艇:大型消防救助艇「おおえど」>
こちら、真ん中でくの字型に立ち上がっているのが「屈折式放水塔体」。はしご車の一種のスノーケル車と同じように高所からの放水や、先端バスケットを使って消防隊を送り込んだり、被災者を避難させることができます。
そしてこれは完全に写真では伝わらないんですが、「おおえど」スクリューと舵が一体となった「360°旋回式コルトノズル付きプロペラ」というものを装備しているため、その場から移動せずにぐるんぐるん回ることができます。真横に水流がでているのはわかるかと思います。
ぐるんぐるん。
ぐるんぐるんしながらの放水。
乗船しての見学です
さて上掲までの写真は東京みなと祭り恒例の東京消防庁のイベント「水の消防ページェント」での写真でしたが、ここからはそのイベントのあとの一般公開での写真です。新しい船とあって長蛇の列です。
艇首。
「屈折式放水塔体」のアップ。バスケット部はあんまり大きくなくて、いっぺんに大量の人を乗せるという感じではないですね。
艇尾。黄色い輪が見えますがこれはヘリによる救助活動の目印のための「R」マークの一部。
奥に見えるのは大型化学消防艇「みやこどり」です。*2
操舵室の真ん中。レバーがエンジンの出力とプロペラの角度を調節するやつだと思います、たぶん……
海図やレーダー図なんかは液晶ディスプレイにきれいに映っていて、電子化だ!という感じでした。
操舵室の1層下のスペース。会議室兼有事の指揮所という感じですが、海上保安庁の巡視船にあるOIC*3に比べると控えめなんですよね。これは完全に推測ですが、東京消防庁の船は全艇現場に投入され現場の船として活動することが期待されているのに対し、海上保安庁の船はもうちょい指揮結節がある形での活動を想定されてるんではないかなと。
後部の救助艇として使われるであろう複合艇とそれの揚収を担うであろうクレーン。
後部は曳航用の索を取り回す装備が完備されていて、完全にタグボートという感じでした。
なお、
あ、忘れる前に書きますけど、東京消防庁の消防救助艇「おおえど」、パンフレットとかで、被災船に部隊を投入できるみたいなことが書かれているけれども、これは「おおえど」配備の隊員+連携隊として増強される陸上隊員のことらしく、え、つまり臨港消防署のポンプ隊船舶火災対応の訓練受けてるの……
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年5月27日
連携隊が増強されるという話までは一般公開で船上にいた消防の人に聞いた話です。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年5月27日
「おおえど」導入したことで、東京消防庁は被災船舶に隊を送り込んで対処する能力と、被災船舶を曳航して状況をコントロールする能力を備えることが求められるわけで、自治体消防としては相当踏み込んだなというふうには思いますね。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年5月27日
それそれとして
冷静に考えると、「しぶき」とか「はやて」といった事象の名前とか、「ありあけ」「かちどき」みたいな地名に因んだ船名をもつ艇隊に、「おおえど」という船名をぶち込んでくるセンスやばくない?
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年5月27日
30年選手のベテラン護衛艦「はたかぜ」
はたかぜ、5インチ砲ももちろんそうなんだけど、イルミネーターがいいんだよな…… https://t.co/XUVtEPSg4z
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) May 27, 2018
「はたかぜ」型護衛艦、敵が撃ってきたミサイルなどを中距離以遠で迎撃するための護衛艦で、1番艦の「はたかぜ」が就役したのが1986年、30年以上に渡って海上自衛隊で防空を担ってきたベテラン艦です。
僕が乗艦するのと入れ代わりに退艦していく一日艦長。永吉明日香さんという方が務めれらていた由。
艦橋とアスロック*4周り。艦橋上の三次元レーダAN/SPS-52*5が「イージス艦以前」のたたずまいですよね。
ミサイル発射機の射界を邪魔しないように高い位置に据え付けられた5インチ砲。
Mk13ミサイル発射機。最近の護衛艦/軍艦は、甲板に埋め込み式の垂直発射システムを装備しているものばかりなので、発射機が独立して立ち上がっている形式にはぐっと来ます。
対潜水艦用の単魚雷発射機にはテプラを駆使した説明板が添えられていました。ベリーベリージャパニーズな光景だ!
片舷に3発積まれたハープーン対艦ミサイル。4発フルには積まれてないんですよね……。
後甲板、ヘリも降りられる広いスペースに手旗信号の展示を見る人の群れ。
しかしこの、20mm機銃(CIWS)!!5インチ砲!!20mm機銃(CIWS)!!という配置のグッとくる感じですよ!!!
そして下掲の2カットは「島じまん2018」をやっていた竹芝桟橋から見えた、晴海から横須賀に帰っていく「はたかぜ」。
竹芝桟橋の2階テラス、夜にお酒飲んで、騒がない程度に喋っててよかったら、夜景見ながらダラダラするオフとか楽しくできそう。
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) May 27, 2018
*1:消防機関以外では海上災害防止センターが保有 http://www.mdpc.or.jp/vigilance/index.html
*2:「みやこどり」についてはこちらのエントリを 東京みなと祭で公開されていた消防艇「みやこどり」と掃海艦「つしま」 - インターネットあっちこっち
*3:指揮所スペース
*4:写真真ん中の箱状のもの。対潜ロケット発射機
*5:黒い四角いやつ