侮りがたし府中市郷土の森博物館/復元建築たち
レトロ小学校校舎の魅力
旧府中尋常高等小学校校舎(主要部)。
1989年まで使われていたということで、レトロなようなそれでいてちょっと生活感が残っているような。
教室の一つが「多摩川ふれあい教室」という名のもとに多摩川に関する資料室になっている。府中市域だけでなく流域全体を取り上げています。
天皇も来た大店
旧田中家住宅。府中宿でも指折りの大店で、「明治天皇が府中近辺に来訪した際には、休憩所や宿所として利用され」たとのこと*1。『半七捕物帳』あたりの感覚で考えると、明治初年の府中は今日の箱根くらいに相当するかと思われます。
式台付き玄関。格式があるやつ。
休憩所/貸座敷を除いて上がることが出来ませんが、中を通り抜けて部屋を見て回ることが出来ます。
土間。右手にある丸いのは説明板によると井戸とのこと。
そして説明板を見ない来場者の人たちが「これなにかなー」「お味噌とか入れてたんじゃない?」って会話をしていて思わず難しい顔になってしまった。
御座所(天皇の休憩・宿泊の部屋)。床の間こそありますけど、天井は特に格天井とかではなくシンプルな感じ。
蔵の中には壁の塗り方の展示。
こちらは向かいにある旧島田家住宅。薬局だったそうです。中には上がれないのですが、おひなさまが飾ってありました。上がれる建物と上がれない建物を分けているのが、府中市というあまり大きくない地方自治体単位でこれだけの復元建築を整備できているキモなのかな。
モダンで小さな町役場
旧府中町役場庁舎。博物館の説明によると「地方自治を謳う大正デモクラシーの風潮のなか、財政難にもかかわらず町民の熱意によって3年かけて建てられました」*2とのこと。色合いがとてもかわいい。
事務室。机10個くらいでいっぱいのサイズ感。人口の小ささもあるかもしれませんが、当時の地方行政の規模の小ささがうかがえます*3。2階の町議会議場も同じサイズ。
旧府中町役場の湯沸室。かまどと囲炉裏両方あるのが興味深い。 https://t.co/56Si92q0Fe
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年2月25日
宿直室が結構広いの、どうしてなんだろう……。
町役場の隣に配された旧府中郵便取扱所(旧矢島家住宅)。もともと名主兼問屋の家が郵便業務を請け負ったということで、言わば簡易郵便局ですね。玄関に木製の郵便ポスト。
こちらも中には入れず外から見て回るかたち。裏には丸ポストが。
様々な農家たち
農家の長屋門
中には「ふるさと体験館」があり伝統的な子供向け遊具があったり、工芸品の制作展示があります。
これかわいいように見えて実は悪夢に出てくるやつじゃん……
府中市域の農家、多摩川の河岸段丘の上にある「ハケ上の農家(水を得にくく畑作中心)」と「ハケ下の農家(低湿地に位置し水害を受けるが水利はいい)」に別れるとのことで、この写真の高低差が実際の多摩川の河岸段丘であり自然堤防を活かした展示になっているのですが
これらハケ下の農家と
ハケ上の農家の差異って一見だけだと難しい。ただ、水場が、ハケ下は水道、ハケ上は水瓶ってなってるのはそこを意識している、のかな。
そしてこれはハケ上の農家の横にあった放水銃です。
公園に馴染んでる https://t.co/x5EPMnS4r7
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2018年2月25日
建物以外も色々あります
緑の季節に来たらいろいろ咲いてそうな水辺。
復元まいまいまず井戸。水脈が深くにある土地で井戸を掘るために螺旋状に土を掘って施工位置を低くする技法ですね。まいまいず井戸、見た目が面白く名前が可愛い。
縄文集落遺跡の移築。敷石とか古代の人ちゃんとやってるのえらいよな。自分が当時生きていたら絶対基礎なしに小屋を立てる自信があります。
「やすらぎ亭」併設の飲食店の鳥豆腐うどん。うどん、地粉、なのかな……。のぼりがそれっぽく立ちつつ、メニューには言及がありませんでしたが、ともあれ、美味しかった。
*1:旧田中家住宅(府中宿の大店)|公益財団法人府中文化振興財団
*3:戦時中に兵事係の事務増加のため増築されたそうで、総力戦、これだからお前は、という気持ちになります