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おじさんが、水族館や動物園に行ったり、そのへんでお酒を飲むブログです

「東京のミニパナマ運河」を自称する扇橋閘門の一般公開を見てきた

見てきました。去年*1も見たんですが楽しかったので今年はうちに泊まりに来ていた友人たちを引き連れて行ってきました。
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そもそも墨田区のほとんどと江東区の北側2/3程を占める江東デルタ地帯は、戦前~高度経済成長期の地下水と天然ガスの組み上げによってすっかり地盤が沈下してしまい、東京湾の干潮時の海面よりもさらに地面が低いという地域が広がっています。このため、西は隅田川沿岸、東は荒川沿岸にしっかりとした堤防を作って多雨・台風時の洪水を防ぎ、あわせて小名木川の水位を調整しつつ舟運の便を図るための施設のひとつが扇橋閘門なのです。
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控えめにのぼりが立つ扇橋関門入り口。僕らがここに差し掛かると、テントの下から
「もうすぐ船が通りますよー」
という広報の声が。
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慌てて閘室*2に駆け寄ってみると、隅田川側の「前扉」が開けられており、そこにアプローチする遊覧船の姿が見られます。
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荒川方面の水路を締め切る「後扉」。その向こうの小名木川の水位が遥かに低くなっていることが分かるだろうか。常に水門の「隅田川側」の水位が高く、「小名木川側」の水位が低いように調整されています。
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進入してきた船が閘室のどこかにもやいを取ると
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後扉の外側に閘室の水がどんどん排水されていき
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水位がぐんぐんと下り、
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やがて後扉が開くと船が小名木川の方に入っていきます。
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扇橋閘門の非常用発電機と管制室(2階)。
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管制室の横の通路で隅田川側を眺めていると、すぐに先ほど向こうに行った遊覧船が戻ってくる旨の通知が。
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船が入ると後扉が閉じて……
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閘室にどんどん水が流れ込んできて水位を上げます。
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やがて水位が一緒になると観光船は隅田川方面に向けて航行していきました。
ちなみに閘門をくぐるとき船の乗客が傘を差しているのは、閘門が上がるとき真水の洗浄シャワーがゲートに吹きつけられそのしずくが垂れてくるからで、川の水はほとんど垂れてこないそうです。
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管制室。もともとはそれぞれの水門の上で管制していたものの、効率化のために一箇所にまとめられたとのこと。
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小名木川の生き物として展示されていたハゼやチチブたち。
閘門以東の小名木川横十間川北十間川、旧中川はひとつの水系として水位調整されていて、水質維持のため扇橋閘門と北十間川桶門から隅田川の水を導水、木下川排水機場から荒川に向けて排水する水の流れがあり、通常時、水系内の水は3日かけて入れ替わっていくとのこと。道理で春先から多くの人が釣り糸を垂れていても魚影が消えないわけだ。

パナマ運河に比べるとあまりにささやかな施設ではありますが、東京東部を洪水から守り、河川交通を維持する大事な施設である扇橋閘門。じつはここ、この秋から耐震改修工事に入るため2年強に渡って見学だけじゃなく通航もできなくなってしまうとのこと。*3
今年の一般公開は残すところ20日(土曜)、21日(日曜)、27日(土曜)、28日(日曜)の4日間のみ。興味がある方は今のうちに行っておくのが良さそうです。
www.metro.tokyo.jp

*1:2015年

*2:関門と関門の間の水路

*3:その間、船舶は荒川ロックゲートから出入りすることになる