紋別市のオホーツク海への扉「オホーツクタワー」と「とっかりセンター」
というわけで2016年3月初頭、流氷を見るために道東に行ってきたのですが、水族館好きおじさんとして紋別の水族館類似施設、「オホーツクタワー」と「とっかりセンター」にもちゃんと行ってきました。網走のオホーツク水族館が閉館して以来、道東のいわゆる「水族館」は北見の「森の水族館」くらいになっているようです。
流氷と北の海の生き物を知る「オホーツクタワー」
この右側にそびえる塔が「オホーツクタワー」
*1
。紋別港の防波堤から少し離れた海中に建っており、流氷の観測などにも用いられる施設です。運営はガリンコ号やとっかりセンター*2と同じオホーツク・ガリンコタワー株式会社。雪のなくなったいい季節だと防波堤沿いに歩いて行くの悪くなさそうなんですが、そこは冬季、ガリンコ号2の乗船後、発着場から出ている電気自動車のシャトル便でオホーツクタワーに向かいました。
オホーツクタワーの内部は流氷博物館のようになっていて、流氷のできるメカニズムや観測体制を映像や実際の機材で展示してあって、ざっくり、なんで流氷が他の結氷海域からかなり南のオホーツク海で見られるのかが分かりやすく説明されていました。冷凍庫に触れる流氷が入ってて、僕はふーん海で見たやつだなって思ったけど、夏だとありがたみがあるような気がする。
あと紋別のホタテ漁の説明とか
あまり流氷近くないですけれども展望階からの眺望とか。
海氷観測の関係か、海上保安庁の広報コーナもあったりしてなかなか興味深いです。
そしてタワーの地下部分が海中展望塔として世にも珍しい氷海の水面下が覗けるようになっているわけです。関東だと勝浦に水中展望塔があります*3けれどもあれの北海道版ですね。
エレベーターで地下に下りますと
ミニ水族館のチョウザメ水槽とともに右奥のような海中展望窓がお出迎えしてくれるのですが!!
サハリン方面も
知床方面も
前日まで時化で海中が掻き回されていたせいか、若干の海藻と底生生物のほかは何も見えませんでした。残念……。
ただ、この階のミニ水族館、先ほどのチョウザメ水槽のような円筒のやつと直方体のやつが幾つもあって、もちろんあくまで「ミニ」といった規模なんですが、北の海のよくいる魚たちを紹介してくれます。
説明板読むとミズダコやオオカミウオには個体ごとにちゃんと名前ついてたり、
そもそも説明板に紋別市のマスコットキャラクター、「紋太」*4のコメント風になってたりとなかなか芸が細かい
なるほど紋太の説明によるとこれがクロガシラカレイで、
もうわかんねえなこれは……。
カラフトマスに
キンキに
クロソイに
シマソイ
トゲカジカと、この辺は食卓や外食のテーブルでお目にかかることのある魚たち。
そういえばホウボウいたけどオホーツク海にもいるのかな……。おいしくて胸鰭が足みたいでかっこいいのでもっとみんな水族館でワーキャーしてもいいと思う魚種。
クリオネがたくさんいたのはさすが北の海という感じでした。
甲羅の色に年季を感じさせるズワイガニ。
どっちかがフウセンウオでそうでないほうがダンゴウオです(あいまい……)。
これで飼われる魚介だいたい紹介してしまったくらいのミニ水族館ですけれども、タワー全体では、流氷のメカニズムなどの展示も合わせてオホーツク海を学べる施設なので結構楽しいんじゃないかと思います。
やたらとアザラシと触れ合える「とっかりセンター」
オホーツクタワーとは別の日なんですが、「とっかりセンター」*5も訪問しました。
水族館類似施設にすぐ引き寄せられる人 @ オホーツクとっかりセンター https://t.co/rHUxd6ogAh
— えいち・えむ・えす・ゆりしーず (@hms_ulysses) 2016年3月4日
オホーツクタワーやガリンコ号からほど近いところにあり、北海道立オホーツク流氷科学センター*6などと併せて「ガリヤ地区」という観光ゾーンを構成しています。「とっかりセンター」は「日本最北のあざらしの保護施設」とのことで、保護活動を行いつつ、展示や触れ合いを行ってアザラシに対する理解を深めてもらう施設といった感じ。
計4つのアザラシプールと「ベン」と言われる病室スペースからなるこぢんまりとした施設です。
巨大アクリルパネルによって海中でのアザラシの泳ぎが見られるのが売りの一つなのですが、
うーんやはりこの日も海水が濁っていて、海水を直接引き込んでいるプールもご覧の有様でした。残念。
もちろん水上に上がっているアザラシはよく見えて、なかなか気持ちよさそうに泳いでいます。浮かんでいる氷は自然に結氷したもののようです。
こちらが「ベン」。ちょっとというかだいぶ光反射しちゃってますけれどもアザラシが収容されているのが分かるかと思います。
その内に日5度の給餌タイムに遭遇したので見学。「アザラシ広場」と名づけられたスペースで、アザラシに給餌しながら訪問者にアザラシの解説を行うというイベントです。
飼育員のおねえさんに合図されてアザラシたちの入場。
何も言わずにもうすでにステージっぽいものの上に上がっちゃってるアザラシも。
おねえさんの合図に合わせて口を開けるアザラシたち。口内の健康チェックのために訓練した動き。
おねえさんの合図に合わせてごろごろするアザラシたち。こちらはお腹の様子などを見るために訓練した動きとのこと。なお、お腹に2つ穴があるのがオスで、一つはおへそ、ひとつは生殖器のしまわれている穴だそうです。まあ、氷海の水の中で外に出してたら大変なことになるよな……。メスはおなか側の穴はおへそだけで、生殖器は足の間にあるとのこと。
足のヒレ。
ちなみにアザラシの耳は眼の後ろにあって、通常は上の写真のように穴が開いているのですが、
泳ぐときは首を縮めてこんな風に耳の穴を塞いで水が入ってこないようにするそうです。なるほど。
※このあと滅茶苦茶アザラシと触れ合った(写真なし)
おねえさんが餌のバケツを持ったプール側に行くので釣られてそのまま帰ってゆくアザラシたち。
なんかものすごい親近感を感じるワモンアザラシ。
展示されているアザラシたちはほとんど事故にあって保護されそのまま居着いている個体で、ほとんどがゴマフアザラシです。あと上掲のワモンアザラシが数頭。
こんな感じで2種が同居してるプールも。
「とっかりセンター」は給餌タイム見てもすぐに全体を見終えてしまえる小さい施設ですけれども、アザラシがいっぱいいて代わる代わる泳いでる様子がこれでもかというほど見れるのと、給餌タイムのアザラシとの距離の近さが魅力でした。「オホーツクタワー」、「とっかりセンター」、「ガリンコ号」、「北海道立オホーツク流氷科学センター」で1日かけて回るのがちょうどよいのかなという感じです。
*2:後述
*3:行ったことないけど他にも和歌山とか何ヶ所かにあるみたいですね
*5:オホーツクとっかりセンター | アザラシの豪快ダイブ、オホーツクの大自然に囲まれたアザラシ水族館
*6:最近悪い感じで話題になってしまったやつ